大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

知っていること vs. わかること vs. できること

   

知っていることと、わかっていることの間には、大きな溝があります。
 

例えば「音を外す歌手ってダメなのよね」みたいな話があったとして、

「Aって歌手もBって歌手もピッチ悪いんだよ」という知識はちょっとネットでも見ればすぐに拾えることです。

しかし、これはあくまでも知識。

「本来440Hzで歌うところを410Hzで歌っちゃう人は音痴と言われる」程度の、その気になれば誰でも手に入ることなのです。

 

「わかる」人は二次情報からではなく、
自分自身で情報を収集できる人。

「Aは音を外すと言われているけど、
実は中央のA周辺のピッチが甘いだけで、他の音はそうでもないね。」
などと、独自に判断して、情報を発信できる人のことです。

例えば、ネット上にある情報を拾って、
それをリツイートやシェアしている人は「知っている人」。

自分自身で発見した情報を発信している人を「わかっている人」。

・・・と説明すると、わかりやすいでしょうか?

 

さて、「音を外す」とはどんなことを言うのか、
音を外さないためにはどんな練習の仕方をしたらいいのか、
どんな筋肉や、脳のファンクションをつかったらいいのか、
 

・・・そんなことを知っている人がみな、
それを「できる」とは限りません

反対に、「できる人」がみな、そんな知識があったり、
わかっていたりするわけでもない。

 

 

むしろ、知っている人、わかっている人には「できない人」が多く、

また、「できる人」は、勘や鍛錬でやっているので、
「知らない」「わからない」という人が多かったりします。

 

走るのが速い人が、みな、
なぜ自分が早く走れるのかを知っているとは限らない。

解剖学や運動生理学の大家の先生が、足が速いとは限らない、
というようなことです。

 

そう考えると、知識なんかいらない。
繰り返しトレーニングする方がいいじゃないか。となりそうですが、
 

ある程度の年齢になってから、
知識や思考など左脳のアクティビティを介さずに、
芸事やそれにまつわる感覚を体得するのは、
非常に時間がかかる、難しいことだというのが私の考え方です。

 

「これこれこういうのが正解。」

「正解を得るためには、こういう努力が必要。」

それらをきちんと左脳レベルで理解して、

「こんな風に感じるのが正しいらしい」などと
カラダの細部の感覚とつなげてあげることで、
すっかり休眠しているカラダの感覚が蘇ってくるというイメージです。

 

そうやって、左脳からアプローチして右脳の感覚を呼び覚ますと、
トレーニングの効果はどんどん上がります。

 

「知っている」を「わかる」に。「わかる」を「できる」に。
一歩一歩進んでいくことが実は一番の王道であり、近道というのは、
どんなスポーツも技術習得も同じですね。

26993280 - close-up of a hand timing a blurred young woman's run on the running track

 

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

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