「歌われているように書く」で英語の歌は劇的にうまくなる
ちょっと怪しいタイトルですが、
今日はタイトルだけ読んでいただければいいくらい、お話したいことはシンプルです。
一所懸命練習しても、なんだか英語がたどたどしい。
どうやっても全然英語っぽく歌えない。。。
そんな人には、まず、こう言います。
「ちょっと、メロディをつけないで、歌詞をそのまま読んでください」。
すると、みなさんそれぞれに、一所懸命、
「正しい英語」を発音しようと歌詞カードの文字を追いかけはじめます。
舌をかんだり、丸めたり、唇をかんだり・・・
必死に、つっかえつっかえ、そして、たどたどしく読んでくれるわけですが、
残念ながら、典型的な日本語英語。
ひらがなで書けてしまうのです。
「うぇん あいぃ〜 わずぅ〜・・・ やんぐ あ〜〜い・・・ど
りっすん とうぅ〜・・・ず・・だ・・Theぁあ・・・」
(When I was young I’d listen to the…)
これでは「英語の歌」に聞こえるわけがありません。
読んで日本語英語なものは、歌ったって日本語英語なのです。
そんなことを言うと、みなさん、
「あぁ、だって、私、中学時代から英語が苦手なんで。」
「わぁ〜。これから駅前留学(死語)とかしなくちゃいけないんですかぁ〜?」
と絶望的に言い出すのですが、
いやいや。
おもしろいのはここからです。
まず、忘れてはいけない、非常に大切なポイントは、
英語と日本語は、「音」の作り方、聞こえ方、その表現方法がまるで違うということ。
発音だけではなく、
発声、音色、そしてメロディに乗せるときの音ののばし方にも、
それぞれの言語特有のさまざまな個性があります。
この辺を掘り下げていくと、
私のようなオタクな人は楽しくって眠れなくなっちゃうんですが・・・
「とりあえず、手っとり早く、ぱぱっと上手に英語の歌を歌いたい!」という人は、
だから、
英語という言語を自分の慣れ親しんだ言語の「音」に変換しようとするのを
まずは、今すぐやめるべきなんです。
wasは「わず」じゃないし、radioは「れいでぃお」ですらない。
そもそも、そんな風には絶対に聞こえないはずなのに、
そう発音してしまうのは、文字を追いかけるからです。
「英語の文字の読み方はこうあるべき」という、
残念ながら、豊かとは言いかねる英語教育によってすり込まれた、
「例のあれ」が典型的な日本語英語をつくっているのです。
そこで、逆転の発想です。
歌詞カードは忘れてください。
「書いてあるように歌う」のではなく、
「歌われているように書く」こと。
これは、似ているようで、全然違うことです。
無理に英語で書く必要はありません。
聞こえてくるように、遊び感覚で、ひらがなで、
おもしろおかしく音を並べてみましょう。
小さく聞こえる音は小さく書き、
ひらがなで表記できない音はアルファベット書き。
もちろん英語に聞こえる部分はどんどん英語で書いてかまいません。
例えば、先ほどの歌詞だと、こんな感じになります。
「うぇ〜〜な〜ぃわじゃ〜〜ん〜〜がぁ〜〜ぃ dりっすんとぅ〜〜だ(the)・・・」
馬鹿にしてるの?と思うかもしれませんが、
実際に声に出して歌ってみると、前述の例とは、そのサウンドの違いに驚くはずです。
もちろん、これはアプローチのひとつ。
英語のサウンドをカラダの中に入れるための、エクササイズのようなもので、
遊び感覚でこうして音を拾っていくうちに、
びっくりするほど、さまざまな音が聞こえてくるようになります。
英語の文字に変換するのは、それからで充分です。
次第に、長年学んだ英語のサウンドと、
自分が耳コピした「なんちゃってひらがな」とがリンクしはじめます。
そうなればしめたものです。
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