「わからない」って最強/生まれて初めてスタジオに入った日
どんなに百戦錬磨なミュージシャンにだって、「生まれて初めてスタジオに入った日」があります。
あれは高校2年の夏のこと。
生まれて初めて組んだバンドは、メンバー全員がこれまた「生まれて初めてバンドを組む」という、これ以上ないくらい初々しき女子高生バンド。
全員が緊張の面持ちで秋葉原にあったLaoxのリハーサルスタジオに向かいました。
■音がでない?
ここで、部活の先輩やバンド経験のある男子学生の友だちがいればよかったんでしょうが、何しろイケてない女子校のクソ生意気なロック女子。
「スタジオに入ってギターを弾けば、たちまち私はジミーペイジ」と、脳内妄想だけは一流だったのに、いざ、リハスタへ入ってみたら、あっららららら…
そもそも、音が出ないんです。
誰ひとりマイクの差し込み方すらわからない。
ミキサーってなんだかもよく知らない。
スピーカーの後ろにまわって、スイッチ入れたり消したり。
手当たり次第つまみを回してみたり。(こらこら)
店員さんを呼んで、なんとかマイクの音は出たものの、今度は、憧れのFenderのアンプの、どこの「穴」にシールドをぶち込んだらいいか検討もつかない。
当てずっぽうで差し込んで、スイッチを入れてみても、パイロットランプはつくのに、うんともすんとも言わない。
「え?こんなはず、ないよね?」
女ジミーペイジ、早くもピンチです。
次から次へとシールドを違うジャックに差し込んでは、手当たり次第スイッチを上げたり下げたり。
つまみを右にひねったり。左にひねったり。
挙げ句の果てに、「このアンプ、壊れてる!」と決めつける始末…。
■シンセもオルガンも、甘く見たらあかん
当時スタジオ常設のキーボードといえば、FenderのRhodesとオルガン、そして、初期型のつまみだらけのシンセ。
シンセとストリングスの区別もつかなかった私たち。
「いざ!」とシンセのスイッチを入れるも、「ヒョエ〜〜」「ポッポッポッポッポ」と妙な音がするばっかりで、まったく「楽音」になるようすもない。
オルガンだって、訳のわからない物差しみたいに目盛りがついた棒がいっぱい並んでて、憧れのジョンポールジョーンズの音なんか、ぜ〜〜〜〜んぜん出てこない。
おまけに、でっかい箱の中で、何かがくるくる回り出して(レスリーですな)、「ええええ?何何?」と大騒ぎ。
結局最初のリハスタ体験は、右往左往するうちに終わっていったのでした。
■「わからない」って最強!
最近の若者たちなら、ささっとググってスマートに音を出すんでしょう。
そもそも、最近の機材なら、スイッチひとつでそれなりの音が出るかもしれない。
「情報弱者ってのは、時間とお金を無駄にするよね」と、言われても仕方ない。
しかしです!
あの、しょーもない試行錯誤の時間がくれたものは、実に膨大です。
- 楽器を甘く見るな
- 思い込みだけで何かができると思うな
- 「わからんヤツ」が何人集まっても「絶対わからん」
- わからなかったら教えを乞え
…そんな、「人としての学び」から、
電気楽器というものの奥深さ。
いつでもどこでもすぐに音が出せるドラムやヴォーカルのありがたさ。
楽器を扱える人へのリスペクト。
やりたいことをやるには、これとこれ、勉強しとかなくちゃダメだねという学習の本質。
そんな音楽的な学びもたくさんありました。
「わからない」って最強です。
どんなこともすべてが学びになる。
余計な予備知識がないから、あっという間に新しいことを吸収できる。
訳がわからないまま、がむしゃらに突き進むから、打たれ強くなる。
あの頃の「わからないなら、とりあえず手当たり次第やってみる」という習慣が、
今の私の”OSの古い脳みそ”でも、ソフトやアプリをスムースに使いこなせる力になっている気がしています。
■できないからやってみる。それがチャレンジなんじゃないのか。
「できないんだ」と知ることは大きな学びです。
いや、できないだろうと想像することと、実際に「ほんとに出来ないんだ」と腑に落ちることは、もう全然違う。
できないことを回避していても、一生できるようになりません。
「できる人に教わる」のは、一旦やってみてからでも遅くない。
できないから、やってみる。
この精神がなくなったら、人類の進歩はおしまいです。
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