歌い手の声の印象はこれで決まる!
プロアマ問わず、
さまざまなシンガーの歌にアドバイスをしていて、
もっとも気になるのが「音の立ち上がり」と、
「フレーズの語尾」です。
特に「音の立ち上がり」は、
歌い手の声の印象を大きく左右します。
ところが、多くの人が一所懸命練習するのは、
高い声、太い声、ピッチ、ビブラート・・・。
声を出しはじめた、その瞬間に、
歌のイメージは決まるのに、
やっと声が安定しはじめるのは1秒後、2秒後・・・
いい声が出てきたときには、
あら残念、フレーズが終わって、
また次のフレーズがはじまってしまいます。
特にロックやR&B、ヒップホップのように、
リズムを強調した音楽を歌うなら、
この「立ち上がり」の瞬間をとらえることは、
必要不可欠です。
よく生徒たちには、
「出た瞬間にパキンと音をとらえる」
と説明しているのですが、言うは易し。
実際にやってもらうと、
まず、ピッチがよれる、
変なアクセントがつく、
声の音色が安定しない、、、と、
みんな、その難しさに目覚めます。
声を出す、まさにその瞬間に、
正確なピッチをとらえる。
確実に音のアタック、ピークをつくる。
ことばのエッジ、
子音なら子音特有の周波数を立てる、
母音なら、その目指す音をポンと出す。
そして、立ち上がった次の瞬間に、
自分という楽器の一番美味しい「鳴り」を得られるポイントへ、
声を連れて行く。
なんだか抽象的な、
小難しいことを言っているようですが、
このすべてが、実は確実に数値化できることばかり。
それなりの機材を使ってレコーディングをすると、
全て波形としてくっきり現れます。
こんなことを書くと、
「歌は心ですよ」とか
「歌を数値で語るなんて、わかってないね」とか、
言う人が必ずいるんですが、
そう言う人こそ全然わかってない。
感動的な歌を歌うすごいシンガーで、
この「立ち上がり」がショボイ人は、
ひとりもいません。
で、どうすんの?
この「立ち上がり」をとらえるのに有効な練習は、
主に3つです。
- スタッカートのような、短い音を連続で出すトレーニングちなみに、スタッカートをお腹でかけると思っている人がいるんですが、
お腹なんかでかけようとするから、ピッチが安定しないんですね。
スタッカートは構音筋で表現します。母音の場合は声帯様の開閉です。 - スローモーショントレーニング歌い出しを、超スロー再生で完璧に、確実に、
ピッチや子音や音色をとらえられるまで練習します。
ゆっくりやってできないことは、速くやったら一生できませんから、
ゆっくり、正確にできるようになって、少しずつスピードを上げます。 - ロングトーンから、ことばの発音や音の階段に移行するトレーニングまず、いい声の「鳴り」をつくって、
その「鳴り」を壊さないように、
ことばを置いたり、音の階段を刻んだりする練習です。
最初はお経のように、一定の音の高さで練習をするとよいでしょう。
ちょっと小難しい話になっちゃいましたが、
何ごとも、まずは「意識をすること」が一番大事。
この解説を読んだだけで、
歌の聴き方、歌う時の意識の在り方が、
少しでも変われば成功です。
気の遠くなりそうな練習かもしれませんが、
いつも言うように、
歌の練習は自転車に乗るのと同じです。
一回できたら、二度とできなくなりません。
自宅でじっとしてなくちゃいけないこの時期こそ、
こういう地味〜な練習がオススメですよ。

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