大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

情報の価値を最大化するための5つのヒント

   

おなじ曲を聴いているはずなのに、
聞き手によって、耳に入ってくる情報はまるで違います。

ある人は「いやぁ〜、いい歌詞だね」と言い、

ある人は「この声、誰かに似てるなぁ」と言い、

ある人は「ほほぉ〜、今のコード進行カッコいいね」と言う。

 

「うるさいから音楽止めてくんないかな?」と言う人がいて、
「こんな音楽、どこがいいの?」と言う人がいる。

 

情報を生かすも殺すも、受け手次第なわけです。

 

さて。

授業やレッスンをしていてがっかりするのは、
生徒たちが、こちらが与えた情報を
ちっとも活用できていないと感じたときです。

おなじ情報を与えているはずなのに、
恐ろしく伸びる生徒と、
1mmも成長できない生徒がいる。

おなじ授業料を払っていて、
これでは、もったいなさ過ぎます。

 

そこで、今日は、ちまたでよく言われる、
「今どきは、高い声が出ない歌手は売れないよ」
という情報を手に入れた、と仮定して、
『情報の価値を最大化するための5つのヒント』をお届けします。

 

<ヒント1.検証する>

どんな情報も鵜呑みにしないことは、
価値ある情報をモノにする第一歩。

「高い声が出ない歌手」は本当に売れていないのか?

売れている歌手に「低い声」の人はいないのか?

そもそも、「高い声」とは、どこから上の高さの声を言うのか?

「売れている」というのは、セールス的にどのくらいの数字を出せる人を言うのか?

「売れている歌手」の何パーセントが「高い声」なのか?

 

オタッキーに掘り進み、検証するほどに、
情報は広がり、最初の情報の価値は高まります。

 

<ヒント2.考察する>

どんなことにも理由があります。

事実がわかればそれでおしまいでは、
情報を生かせているとは言えません。 

なぜ、「高い声」が売れるのか?

いつから「高い声」が売れるようになったのか?
その変化の理由はなんなのか?

音楽の形態や楽器の形態のせいなのか?
メディアの変化なのか?

「高い声」が象徴するのはなんだろう?
健康か?強靱さか?若さか?体格は?ホルモンは・・・?

考察するほどに、情報に新しい意味が生まれていきます。

 

<ヒント3.関連情報を集める>

ある情報や思考を自分自身の知識にまで昇華するためには、
単にその情報を広げたり、掘り下げたりするだけではなく、
自分の視点で新しい情報を見出し、紐付けていく必要あります。

では、高い声を出すには実際どうするのか?

自分の声は高いのか?低いのか?

自分にも、「売れる声」は出せるのか?

 

ひとつの情報が次の情報、また次の情報を引き寄せる。

こうした積み重ねが、
やがて、自分自身の本物の「知識」に変わっていくのです。

 

<ヒント4.違う視点で見る>

一つの情報をぐいぐい追いかけているときにこそ、
「ところで」「そもそも」というクールな視点も必要です。

 

ところで、「今どきは・・・」と言うことは、
「高い声」の時代もやがて終わるのでは?

みんなが「高い声」を追いかけているなら、
逆に「低い声」のが目立つのでは?

そもそも、自分は高い声を出したいのか?
そもそも、自分は売れたいのか・・・etc.etc.?
 

情報の価値を判断し、
取捨選択をするための大切なステップです。

 

<ヒント5.行動する>

知識を得ることそのものが快楽であると言う人でもない限り、
行動を伴わない情報に価値はありません。

有益な情報を得たなら、
そして、それが自分にとって必要なことなら、
行動する。チャレンジする。継続する。

 

最後は、やっぱり「行動」なのです。

◆ 6日間12ユニットでヴォイス&ヴォーカルトレーニングのすべてを伝える、【第4期 MTLヴォイス & ヴォーカル レッスン12】お申し込み受付中。
◆週末発行予定のヴォイトレ・マガジンは発声と声のしくみについてマニアックにお届けします。期間限定でごらんいただける映像もあります。
購読はこちらから。

 

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 声のはなし

  関連記事

記憶に残る「デキるやつら」は一体何が違ったのか?

かつて、教えていた音楽学校では、ヴォーカルの授業を 定期的にインスト科の生徒たち …

ちゃんと鳴らす!

ヴォーカルのテクニックのひとつに、 「息混じりに歌う」というのがあります。 基本 …

声は、一生かけて育てるもの

「自分、声が太くなったんちゃう?」 「なんか、倍音増えたなぁ・・・」 先日、京都 …

「出せない音」「イマイチ鳴らない音」を克服する方法

何度練習しても高いところが歌えない、 全体に低くて気持ちよく鳴らせない・・・ そ …

人前に立つ前の「MUST DO!」〜ビジュアル・チェック編〜

昨日のブログ、人前に立つ前の「MUST DO!」〜ムービー/チェック編〜の続編で …

カラダという楽器 〜 Singer’s Tips #9 〜

ピアノでも、ギターでも、 「さぁ、弾こう」という前に、 弾き手が必ずするのがチュ …

プライベートか?グループレッスンか?

「歌はプライベートレッスンでなければ上達しない。」 長年、そう言われています。 …

歌詞が覚えられないのは、意味をわかっていないから。

「歌詞って、覚えられないんですよね。 どうしても、カンペ貼っちゃうんですよ。」 …

「習うより慣れろ」vs「慣れるより習え」

「歌なんか習う必要ないでしょ? かえって個性殺されちゃうから、やめた方がいいよ。 …

「数値」と向き合う。「ヒト」と向き合う。

◆歌の「うまさ」は数値化できる。 専門的な機械を使えば、いや、近年ではそこそこの …