大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

ちゃんと鳴らす~Singer’s Tips #33~

   

「ちゃんと鳴らす」というタイトルの記事は、
これまでも何度かアップしてきました。

本のタイトルなら、「ちゃんと鳴らす/リターンズ」とか、
「もっとちゃんと鳴らす」とかなるんでしょうが・・・

とにかく、そのくらい、
何度も言いたいことなわけです。

小さい声であるということと、
鳴らない声であるということは
全然別もの。

ピアノはピアニッシモで弾こうが、
ピアノピアニッシモで弾こうが、
ちゃんと、いい音で鳴っている。

バイオリンだって、
どんなに繊細に、小さい音で弾いても、
弓が弦をこする音の方がハッキリ聞こえたら、
イケてないわけです。

ところが、ヴォーカリストには、
鳴ってない人が実に多い。

小さい声は、息混じりの声、
かすかす、さわさわな声だと勘違いしている。

「優しく歌って」というと、
密度の低い、鳴らない声になる人もいます。

強弱と、音色は違う。

耳に届きやすい音色の声は大きく、
届きにくい音色の声は小さく感じるだけで、
音量と音色は違うんです。

「息が混じる声」「密度の低い、鳴りの弱い声」も、
すべて、音色表現の一種。

まずは、「ちゃんと鳴らす」。
これ、基本中の基本。

ちゃんと鳴らした状態で、
ピアニッシモで全音域を歌いきる。
フォルテッシモで全音域を歌いきる。
よれない、ぶれない、ひっくりかえらない。

カラダという楽器は完璧です。
後は持ち主がどう扱うかという問題です。
“MTL ヴォイストレーナーズ・メソッド” 開講!
業界トップクラスのメソッドで、圧倒的な結果を出す。ヴォイストレーナーとして活躍されている方はもちろん、ヴォイストレーナーを目指す方、トレーナーという仕事に興味があるという方も。

 - B面Blog

  関連記事

「あたり前」を極める

「自分があたり前にやっていることで、 他の人が絶対にマネできないことに注目しなさ …

「ビートを立てる」って難しい。〜Singer’s Tips #11〜

「もっとビート立てて、リズムよく歌って。」 などというディレクションを受けること …

歌も演奏も一瞬で上達する華麗なる方法

長年にわたり、音楽学校や音楽大学で、 学生のアンサンブル授業を担当してきました。 …

生(リアル)な音、ください。

溝が浅くなるまで、繰り返し聞いたレコード。 ぼろっぼろになるまで、使い込んだ歌詞 …

何才までロックします?

「外タレのチケットの値段をつり上げているのは、 ストーンズとポール・マッカートニ …

「育てる」んじゃない。「育つ」んだ。

「あいつは俺の弟子だったから。あいつを育てたのは俺だよ。」 有名人や、一流の人た …

テンポが速い曲の練習方法~Singer’s Tips #26~

「ゆっくり目の曲はうまく歌えないんです。 テンポの速い曲の方が得意です。」 時々 …

つながらない!

振り返れば、一昔前まで、 人と「つながる」にはそれなりの努力がいりました。 親子 …

「空気読め」とか、違くないか?

生まれて初めてアルバイト情報雑誌を買って、 バイトを探した時は、 一体みんな、何 …

「それは、MISUMIさんが無理だって思っているからです」

後に圧倒的な成功を手にすることになる、 ある若き女性と、 食事をしていた時のこと …