「能書きが多いヤツ」は上達しない。
「歌って何才までうまくなるんですか?」
実によくされる質問ですが、
こればかりは100%「その人次第」。
若者でも上達しない子はしないし、
いくつになってもメキメキ上達する人もいます。
その違いは何かといえば、
素直であるかどうか。
年を取って、だんだん心がひねこびる人もいれば、
若者だって、こどもだって、
人の話に素直に耳を傾けられない人もいる。
反対に、若い頃は自信がなくて、
素直になれなかったのに、
少しずつホンモノの自己愛が芽生えて、
人に心を開けるようになった、という人もいます。
素直じゃない人が成長できない大きな理由のひとつは、
もう、ずばり、能書きが多いこと。
「この音は、こんな感じで歌ってみて。」と説明すれば、
「あ、でも、前のヴォイストレーナーの先生には、
こうしろって言われたんですけど・・・」
「あ!今の声いいわね。」と誉めれば、
「そうですかね?なんか、喉閉まる感じなんですけど、大丈夫っすかね?」
「キミはもう少し、こういう練習した方がいいな。」と提案すれば、
「わかってるんすけどね。家は声が出せないし。仕事結構忙しくて。
アレルギーで体調も悪くて・・・」
あーでもない。
こーでもない。
とにかく、なにか言いたい。
脳の中がノイズだらけな証拠です。
新しい情報を素直に受け取る用意がないのです。
この先生、ちゃんと教えられるのかな?
この人の言うこと聞いて大丈夫かな?
これでホントにいいのかな?
疑問を持つことは悪いことではないですが、
少なくとも、人の話を素直に聞く用意がないうちは、
レッスンはやるだけ無駄です。
新しい情報が入ってくるたびに、
脳が古い情報のストックを引っ張り出したり、
それと比較参照し、
優劣をつけることに躍起になってしまう。
PCなら誤作動とバグだらけ、というところでしょう。
再起動しなければ、
酷い時はOSを入れ替えなければ、
つかいものになりません。
10人いれば、10人が違う感覚を持っています。
誰かにとっていい声は、
別の誰かにとっては違うかもしれない。
誰かにとってうまく声が出るのは、
お腹の下の方にぐっと力が入る感覚で、
別の人にとってはお尻の穴が閉まる感覚で、
また別の人にとっては、肋骨がぐっと開く感覚かもしれない。
「感覚」の正解は、
つまり人の数だけあるのです。
トレーナーの仕事は、
その人の正解を導き出す助けをすること。
そのために、自分自身の経験と感覚を言語化し、
さまざまなくふうして、
その人のカラダの反応を引きだそうとすることです。
ピンとこない人からは学べません。
逆に「この人!」と信じる人に出会ったら、
余計なことは言わず、
とにかく、ひとまず、100%受け入れる。
その覚悟がなければ、誰からも、
なにひとつ学べません。
潔くレッスンに通うのをやめて、
自主トレを積む方が圧倒的に上達は早いでしょう。
ところが、能書きが多い人ほど、
自分で自分に教えることも苦手です。
自分で「やってみよう!」と思うことさえも、
脳のノイズが邪魔をするのです。
これって、ダイエットに例えるとわかりやすいんですが、
ある人がヨーグルトが痩せるよ、と言う。
一方で、ヨーグルトみたいな乳製品は血液を濁らせるという人もいる。
ダイエットするなら和食だよ、と言われる。
よし和食で痩せよう!と決めたら、
炭水化物はNGだからごはんはダメだよ、と言われる。
それならローカーボダイエットしようと思ったら、
肉やタマゴばっかり食べるのはカラダに毒だと言われる・・・・
ね?一生痩せないパターンです。
なにかを信じると決めたら、
すでに脳に入っている情報も含め、
他の情報を一旦ぜんぶOFFる。
とにもかくにも、がむしゃらにやってみる。
そういう「潔さ」がないと、
なにやっても中途半端で終わっちゃうんですよね。
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