スーパーファルセット(すんごい高い声)出したい?
スーパーファルセット、
ホイッスルヴォイスなどと聞いて、ピンとくるでしょうか?
わんこがお鼻を鳴らすみたいな、
「めっちゃ高い声」のことをこう呼びます。
ポピュラーなら、
マライア・キャリーや、ミーシャのように、
技術力の高い人たちが、
曲の美味しいところで、ポンと出して、
さらに「おぉ〜、うっめぇ〜」と賞賛を欲しいままにする、
いわば飛び道具のような声。
クラシックの世界だと、
モーツアルトの歌曲・魔笛の中で歌われる、
『夜の女王のアリア』に出てくるような声ですね。
通常の人が出すファルセットの1オクターブ上、
というイメージです。
高すぎて、表現力を駆使したり、
自由自在なフレーズを歌えたりする音域ではありませんし、
聞いている人は、「すっげ〜」と思わずのけぞりますが、
その声をずっと聞いていたいかというと微妙。
どれだけ超絶技巧の人でも、
正確に出すのは骨が折れる声のようで、
平歌部分には、まず使われません。
でもね。出したいんですよね。
なぜ出したいかというと、
まぁ、「そこに山があるから」。
実は私、ほんっとに1年くらい前まで、
この声に興味を持ったこともなければ、
出したいと思ったこともありませんでした。
だってさ。
スーパーファルセットって、なんか、ロックじゃない。
だからといって、完コピに心酔した、
ホイットニーやチャカやアレサのようなディーヴァたちだって、
私の知る範囲では、
やっているのを聞いたことは一度もない。
マライア・キャリーが彗星のごとく登場するまで、
聞いたこともない声でした。
そして、マライアはま〜ったく趣味じゃありませんでした。
だから、ふぅ〜ん、と聞き流していたんです。
しかし、確か、1年くらい前のことになりますか。
「高い声は理論上、誰だって、どこまでだって、出せる」
ということを何かに書いていて、
ふと頭に、「ホントかー?」という疑問がよぎったのです。
言うは易し。
でも、自分が出せなきゃ説得力はない。
それで、出そうとしてみたら、
あら、これ、め〜っちゃムツカシイ。
相当ヴォイトレをしていた時期でも、
ファルセットのトップは、
上のDかEくらいでしたし、
地声の音域が広がるほどに、
ファルセットを使わなくなったこともあって、
(地声がその下のBくらいまで出るので)
そもそも、高音ファルセットを出そうとすると、
妙にディストーションがかかって、
いわゆる、マルチフォニックみたいなことになる。
そうやって、1日中ず〜っといろんな声を出していたら、
声がカスッと枯れてしまいました。
・・・おぉ、声帯様ごめんなさい。
慌てて、歌うのをやめた翌日、
「イヌの声帯様って、どうなってるんだっけ」と、
ルーシーの鳴き真似をしてみたら、
いきなりポンと、目的の上のGの音が出ました。
へー。
声ってオモシロいなぁ、と、
しばらくハマって練習したんですが、
まぁ、前述のように、自分の持ち歌では全く使わないので、
そんまま忘れていたのでした。
ところが。
先日のJ-POPセミナーの受講生の方から、
ミーシャの『つつみこむように』のイントロの、ホイッスルヴォイスを出したい、
というお題をいただき、
生まれて初めて、
「出さなくちゃ」というシーンに追い込まれまして。
結論から言うと、
蚊の鳴くような声ですし、
まだ的中率は低いものの、
なんとか出なくはない。
もちろん、まったく使い物になりませんが、
それでも、
年齢関係なく、練習次第で、
(使いものになるかならないかは別として)
「高い声は誰でも出せる」と言っても、
とりあえず、ぎりぎり、叱られなくてすみそうです。
ご興味のある人は、ぜひ、練習してみてください。
(ただし、翌日に本番があるような人にはオススメしません。)
ちなみに、いつも出している声の延長線上にある感覚ではありません。
力業で出すのでも、
無理矢理引っ張り上げるのでもありません。
最初は
とにかく目的の音をイメージして、
「鼻から声を出す」ような、
繊細な感覚です。
この、細い糸のような感覚が、
確かなものになってくる頃には、
もう少し音量が上がってくるのではないでしょうかしらん。
ちなみに、うちの弟子のひとりは、
練習し過ぎて偏頭痛になったようです(笑)
せっかくだから、私もこのまま、
夜の女王のアリアにでも挑戦してみよっかな・・。
ちゃんと歌えるようになったら、
きっと得意になって音源でもUpすると思うので、
Upされなかったら、
「あぁ、ダメだったのね」と思ってください。(笑)
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