「カッコいいもの」と、それ以外
音楽学校などで、
「この曲を練習してきて」と課題曲を渡すと、
「この通り歌わなくちゃいけないんですか?」
と質問してくる子が必ずと言っていいほどいます。
そんなときの私の答えはいつも決まっています。
「もちろん、そんなことないわよ。
好きなように歌ってきてくれたらいいわ。
カッコよければ。」
「カッコよければ」というのは、
私が実によく使うセリフ。
そして私の信条でもあります。
この最後の「カッコよければ」に圧を感じるのか、
まぁ、みんな一所懸命、練習してきます。
そして、こう言うのです。
「自分なりに歌おうとがんばったんですけど、
オリジナルのカッコよさには勝てないと思ったんで、
まずは完コピ目指しました。」
音楽には「カッコいいもの」と、それ以外しかない。
それはもう、絶対の絶対に確かなことです。
ロックだろうが、ヒップホップだろうが、R&Bだろうが、
J-popだろうが、アイドルソングだろうが、
ジャズだろうが、クラシックだろうが、
関係ありません。
うまいとか、へたとか、
ピッチがいいとか、リズムが悪いとか、
新しいとか、古くさいとか、
ぜ〜んぶ関係ないんです。
「カッコいいもの」と、それ以外。
自分にとって大事な基準とは、
結局それにはじまって、それに終わるのではないか。
どんなにマニアックであると人に言われようが、
自分にとって「カッコいいもの」しか価値がない。
みんなが「カッコいい」と認めたものが、
世の中の「カッコいい」の基準になるわけです。
「カッコいい」の理由はもうさまざまで、
たぶん、理屈じゃないところもたくさんあって。
で、「カッコいい」と言われたい私たちは、
日夜、その「カッコいい」を
盗み取っていかなくちゃいけないわけです。
それは、モノマネレベルじゃ、まだまだなんです。
優れた芸術家は模倣する。偉大な芸術家は盗む。
“Good artists copy, great artists steal.”(スティーブ・ジョブズ)
パフォーマンスを微細に渡って盗み取るだけでなく、
スピリットを盗む。
感性を盗む。
感覚を盗む。
生き様を盗む。
そうやって、完全に自分の血肉になるレベルまで、
徹底的に盗み取ってこそ、
「カッコいい」が自分のものになるんですね。
「カッコいいもの」を目指して、
まだまだ精進です。
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