抜本的に、根本的に、ミュージシャンは、まず、そこ!
一定のレベル以上のミュージシャンになると、
そこから上の実力の差は、
一般の人の耳では、なかなか聞き分けにくくなるようです。
さすがに、本気で、ものすごくうまい人は、
「別物」に聞こえるとは言いますが、
それも単に、大きな会場で演奏していたり、
テレビに出ていたりするから、
「すごい」と認定される、ということもしばしば。
人のコンサートに出かけて、
「この人、ホントにうまいのかな?」と悩みながら、
家路につく人も少なくないはずです。
しかしです。
「ヘタ」は、誰でも、すぐわかる。
この、わかりやすさがすごい。
一聴で、「あ、ないわ。」とわかる。
これって、なんなのでしょう?
たとえばギターでも、
もう、ダメな人はものすごくわかりやすい。
音がパキンと抜けてこない。そもそもちゃんと鳴ってない。
チューナーでチューニングしているに違いないのに、
なんか、ピッチがシャキッとしない。
そして、リズムの点が、かちっとこない。
この3点は、どんなシロウトさんにも、
す〜ぐわかる残念ポイントです。
ヴォーカリストでも全く同じです。
そもそも、声をきちんと鳴らせていない。
あるべき、自分というからだ特有の音が出せていない。
ちゃんと鳴っていない楽器は、
誰が聞いても気持ちのいいものではありません。
そしてピッチ。
とにもかくにもピッチが悪いと、
他の楽器との関係性が成立しない。
メロディがわからない。
聞いている人は、無意識に、
ずっと頭の中で、「これってなんの音なんだろう?」
「楽器のチューニングに対してどうなっているんだろう?」
というフラストレーションを感じます。
そして、この感覚はミュージシャンだけでなく、
一般の方にも、意識されないだけで、同じように起こるのです。
最後に、リズムの「点」です。
これも他の楽器との関係性の中で、
「?」が浮かんでしまう要素の一つ。
このリズムのズレは、こどもでもわかります。
例えば、誰かが机を叩く。
叩いたと同時に「ばーん」と鳴るべき音が、
叩いた瞬間じゃなく、ちょっと後に聞こえれば、
そこに違和感を覚えるのは万人共通なのです。
表現力とか、
感情とか、
アドリブとか、
フレージングとか、
なんだかんだなんだかんだ、
こだわりたい気持ちはわかる。
でもね、抜本的に、根本的に、
ヴォーカリストは、いや、ミュージシャンは、
まず、そこ。
その大切さを心から理解し、
本気でその3点に取り組めた人だけが、
次のレベルに行けるのです。
◆【3月24日(土) MTL Workshop in東京】中上級者向けワークショップ、MTL Workshop in 東京を開催いたします。詳しくはこちら。
◆【第5期 MTL ヴォイス&ヴォーカル レッスン12】 受講受付中!
◆バックナンバーも読めます。メルマガ登録はこちらから。
関連記事
-
-
で?なにがやりたいわけ?
高校時代、多重録音というものへのあこがれが高じ、 ラジカセをふたつ向かい合わせに …
-
-
上達しないアマチュアに共通のマインド
最短で歌や楽器を上達する方法として、 多くのスーパープロが勧めるのは、完全コピー …
-
-
ヴォーカリストのための「練習の3つのコツ」
プライベートレッスンでも、MTL12でも、そして音大でも、 クライアントやアーテ …
-
-
「なぜだろう?」の先に、進歩がある。
「なぜだろう?」 楽器も歌もパフォーマンスも、いや、おそらく、どん …
-
-
誤解だらけの「ロック声」。そのシャウトでは、危険です。
ハスキーで、ひずんだ感じの、 いわゆる「ロック声」には、いろいろな誤解があります …
-
-
やっぱ、英語なんだよなぁ。
日本語の歌を歌っているとめちゃくちゃカッコいいのに、 英語の歌になったとたんに、 …
-
-
ヴォーカリストがリハーサルの前に最低限準備すべき3つのこと
昭和音大では『アンサンブル』という授業を受け持っています。 アンサンブルというと …
-
-
1音にこだわる!~Singer’s Tips #6~
歌のトレーニングの基本中の基本であり、 上達のために最も重要なことのひとつは、 …
-
-
「そんなピッチで気持ち悪いと思わない自分をなんとかした方がいいよ」
「ああ〜〜、やめてぇ〜〜、気持ち悪いぃ〜〜〜っ」 音楽がなんとなくわかった気にな …
-
-
アドリブ上達の唯一の方法
「音程感のないアドリブをやるくらいだったら、 素直にストレートメロディだけ歌って …
- PREV
- 数字じゃなく、「ひとりひとりの顔」に想いを馳せる!
- NEXT
- 芸を磨く。