芸を磨く。
近年、お仕事の関係で、
さまざまなお芝居にご招待いただきます。
たくさんの役者さんが次々と登場するお芝居。
役者さんの顔と名前がほとんど一致しなくても、
「あ!この人はきっとベテラン。
「これは、きっと名優といわれている人」
ということは、一声聴くと、すぐわかる。
「声」が、全然違うのです。
大きい声を出しているわけでもないのに、しっかりと響く。
声が抜けてくる。
ごくごく自然に語っているだけなのに、
ことばが一字一句、くっきりと聞こえてくる。
一方で、若手の役者さんや、
技術的にまだまだの役者さんも、これまた一声聴くとわかります。
ムキになって声を張る。
響きが不十分なのでキンキンし過ぎる。
または緊張したような声になる。
公演が続くと声が枯れて、ガラガラになってしまう。
だからなおさら声を張る。
ことばをくっきり発音しようとするばかりに、
妙にカツゼツが不自然になる・・・・。
ベテランたちは長い修行と積み上げた経験を通して、
声を届けるためのフォームと、カラダのバランス、
そして、筋力を、培って来たのですね。
やたらと声を張って、
遠くに声を飛ばそうとする若手俳優を見ていると、
アメリカの郊外で見かける新聞配達を思い出してしまいます。
映画で見かけませんか?
自転車でばーっと走りながら、
そのスピードをゆるめることなく、
配達先の家の前庭に、文字通り新聞を、”ぶん投げる”少年たち。
新聞は、時にイレギュラーに回転しながら、びゅーんと飛んで、
広い庭にドサリと落ちる。
対するベテラン俳優の声は、
バスケットボールの名選手たちの鮮やかなフリースロー。
ふわりと放物線を描いて、ゴールにすとんと吸い込まれていく。
発声でも、スポーツでも、もちろん仕事でも、
確実に結果を出したければ、
やるべきことは、3つしかありません。
- ゴールを見定めること。
- 明確な地図を描き、フォームを整えること。
- 繰り返しトレーニングして、筋力を鍛え、精度を上げること。
これらのバランスを整えることを、
「芸を磨く」というのですね。
◆【メルマガ365】では「届く声」シリーズ連載中。会議やプレゼン等で「届く声」はどうしたら出せるのか、超マニアックなネタを少しずつ綴っています。バックナンバーも読めますので、ぜひ!
メルマガ登録はこちらから。
◆ 3月10日(土)【第6回ダイジェスト版 MTL voice & vocal レッスン12】キャンセル待ち受付中。
◆【3月24日(土) MTL Workshop in東京】キャンセル待ち受付中。詳しくはこちら。
◆【第5期 MTL ヴォイス&ヴォーカル レッスン12】 受講受付中!
関連記事
-
-
すごいミュージシャンって、ここがすごい。(MTLワークショップ in 東京のご感想)
MTLワークショップ in 東京vol.3の受講生のご感想から。 先日はR&am …
-
-
歌の才能。
はじめてトレーナーのお仕事をしてから、 かれこれ20年。 下は小学生から、上は7 …
-
-
戦略的に自分というブランドを作る
この数年、ビジネスというアウェイなフィールドでたくさんの方に出会ったり、 いろい …
-
-
解像度を上げろ!
歌で伸び悩んでいる人や、思ったように評判が上がらない人に、真っ先に疑って欲しいの …
-
-
あがり症を克服する3つの方法
ビジネスボイトレを受講する人には、「あがり症」を訴える人が少なからずいます。 「 …
-
-
音楽家として認められるために大切なこと
昨日は大学の卒業ライブでした。 終了後、旅立つ若者たちに、 「今後活動していくた …
-
-
ぶっ壊すことを恐れない。
CMの作詞のお仕事を依頼されたときのことです。 某大企業のCMの歌詞を書かせてい …
-
-
わかりやすくうまい人 vs. さりげなくうまい人
「歌のうまい人」には2種類います。 ビヨンセやホイットニーやアギレラみたいに、 …
-
-
ああ、テクノロジぃい
音楽家ってのは、(いや、ヴォイストレーナーってのもそうか。)ゴールデンウィークと …
-
-
「音楽はひとりではできない」の本当の意味
サポート・コーラスのお仕事で日本全国をツアーしていた頃。 ツアー先の地方の会館に …
- PREV
- 抜本的に、根本的に、ミュージシャンは、まず、そこ!
- NEXT
- 「完璧」の基準が「自分」がつくる。
