大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

芸を磨く。

   

近年、お仕事の関係で、
さまざまなお芝居にご招待いただきます。

たくさんの役者さんが次々と登場するお芝居。
役者さんの顔と名前がほとんど一致しなくても、

「あ!この人はきっとベテラン。
「これは、きっと名優といわれている人」
ということは、一声聴くと、すぐわかる。

「声」が、全然違うのです。

大きい声を出しているわけでもないのに、しっかりと響く。
声が抜けてくる。
ごくごく自然に語っているだけなのに、
ことばが一字一句、くっきりと聞こえてくる。

 

一方で、若手の役者さんや、
技術的にまだまだの役者さんも、これまた一声聴くとわかります。

ムキになって声を張る。
響きが不十分なのでキンキンし過ぎる。
または緊張したような声になる。
公演が続くと声が枯れて、ガラガラになってしまう。
だからなおさら声を張る。

ことばをくっきり発音しようとするばかりに、
妙にカツゼツが不自然になる・・・・。

 

ベテランたちは長い修行と積み上げた経験を通して、
声を届けるためのフォームと、カラダのバランス、
そして、筋力を、培って来たのですね。

 

やたらと声を張って、
遠くに声を飛ばそうとする若手俳優を見ていると、
アメリカの郊外で見かける新聞配達を思い出してしまいます。

映画で見かけませんか?

自転車でばーっと走りながら、
そのスピードをゆるめることなく、
配達先の家の前庭に、文字通り新聞を、”ぶん投げる”少年たち。

新聞は、時にイレギュラーに回転しながら、びゅーんと飛んで、
広い庭にドサリと落ちる。

 

対するベテラン俳優の声は、
バスケットボールの名選手たちの鮮やかなフリースロー。

ふわりと放物線を描いて、ゴールにすとんと吸い込まれていく。

 

発声でも、スポーツでも、もちろん仕事でも、
確実に結果を出したければ、
やるべきことは、3つしかありません。

  1. ゴールを見定めること。
  2. 明確な地図を描き、フォームを整えること。
  3. 繰り返しトレーニングして、筋力を鍛え、精度を上げること。

これらのバランスを整えることを、
「芸を磨く」というのですね。

◆【メルマガ365】では「届く声」シリーズ連載中。会議やプレゼン等で「届く声」はどうしたら出せるのか、超マニアックなネタを少しずつ綴っています。バックナンバーも読めますので、ぜひ!
メルマガ登録はこちらから。

◆ 3月10日(土)【第6回ダイジェスト版 MTL voice & vocal レッスン12】キャンセル待ち受付中。
【3月24日(土) MTL Workshop in東京】キャンセル待ち受付中。詳しくはこちら
【第5期 MTL ヴォイス&ヴォーカル レッスン12】 受講受付中!

 - The プロフェッショナル, カラダとノドのお話

  関連記事

「ダメ出し」こそが、プロの技を試される仕事なのだ

他人にダメ出しをする人には、 自分のためにダメ出しをする人と、 相手のためにダメ …

人生はリハーサルのない、1度限りのパフォーマンス

ひとりのミュージシャンの生涯には、 どのくらいの苦悩や葛藤、挫折があるのでしょう …

「本屋を探しても答えがみつからなかったら、そん時はお前がその本を書け」

「わかないこと、知りたいことがあったら本屋に行け。 世の中には、お前とおんなじよ …

「ライブのダメ出し」のタイミング?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2015年11月2 …

「切り際」で、歌は素晴らしくも、へったくそにもなる。

昨日、「音の立ち上がり」は、 歌い手の声の印象を大きく左右する、 というお話をし …

出音=声にこだわるべ〜し!

出た瞬間の「音」が勝負。 いろいろなところで、そう書いてきました。 一流は「音」 …

「死ぬほどへたに歌う」をやってみる

世界中の人が、来る日も来る日も、 次から次へと流れこんでくるニュースに胸を痛め、 …

歌詞カードを丸暗記するより大切なこと。

本番直前になると、こういうブログを書いていることを、心の底から後悔します。 &n …

「プロじゃない」から、すごいんだ。

最近、セミナーや講演を通じて、 全国の音楽愛好家の方たちと接する機会が多くなって …

「想像力の限界」を認める

「ある程度、想像がつくこと」と「想像を越えること」の間には、 「経験」という決定 …