ヴォーカリストのための「練習の3つのコツ」
プライベートレッスンでも、MTL12でも、そして音大でも、
クライアントやアーティスト、学生たちに、
歌の上達のコツとして、一貫して伝えていることは、3つだけです。
あちこちで、繰り返し伝えていることですが、
今日は、こちらで改めて、解説つきでおさらいしておきたいと思います。
1.いろんな要素をダンゴにして考えない。
歌の要素には、メロディ、リズム、そして歌詞があります。
ひとつひとつ、バラバラにやってもうまくできないなら、
一緒にやって、うまくできるわけはありません。
間違ったものは、いくつ集めても、やっぱり間違いなのです。
メロディはメロディ、リズムはリズム、歌詞は歌詞。
ひとつずつ、バラバラに練習しましょう。
「そんなものは歌じゃない」「楽しくない」と感じるでしょうか?
こういうマニアックな練習に楽しさが見つけられるようになると、
ぐっと上達するものです。
2.ゆっくりやってもできないことは、速くやったらなおさらできない。
フレーズが速くて歌えない。
ラップなどでことばがカミカミになる。
音飛びが難しくて、外れてしまう。。。etc.
そんな風に言う人に限って、
そのままのテンポで、ムキになって、何度も練習しようとします。
ところが、「じゃ、ちょっとゆっくりやってみよう」と、
テンポをがっつり下げて、
アカペラで歌わせてみても、実は、カミカミのシャバラバ。
リズムがところどころ突っ込んだり、
そもそもメロがわかってなかったり、
ことばのカツゼツそのものが悪かったり・・・
ゆっくりやってもできないことは、
速くやったらなおさらできないのです。
テンポを下げて、ゆっくり、練習しましょう。
大事なことは一定のテンポで歌えるようになること。
「できないから、ところどころ、テンポがゆっくりになってしまう」のではダメです。
一定のテンポで、つかえずに演奏できるテンポが、
今の自分の適性テンポと心得て、
その適性テンポを上げられるように練習すべきです。
3.理解できなければ、どんなに練習しても精度はあがらない。
自分が歌おうとしているのは、なんの音なのか。
オケやコードに対して、どんなサウンドなのか。
どんなリズムを歌おうとしているのか。
音のひとつひとつを、どんなハマリ、どんなビートで歌うのか。
音の長さはどうなのか。
グルーヴやダイナミクスはどうなのか。
ことばの意味はどうなのか。
どんな思いで綴られているのか。
頭で考えなくても、それらを的確に感じ取れて、
「わかる」なら、それが最高です。
しかし、
なにがなんだかわかんないけど、とにかく難しい。
なにやってんのかさっぱりわかんない。
そんな、腑に落ちない状態のまま、
やみくもに、とりあえず練習しても、精度はあがりません。
理解できるまで解析、分析すること。
遠回りに見えて、実は、それこそが最短の道のりであり、
最高の結果を出せる方法なのです。
いかがでしょうか?
練習の目的は、
ピッチが・・・とか、
リズムが・・・とか、
カツゼツが・・・とか、
そういう「雑念」から自由になって、
自分の思いやメッセージ、
そして、聞く人も、演奏する人も心地よいサウンドを
思う存分表現できるようになること。
歌を届ける、その瞬間まで、修行は続くのです。
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