大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

歌の上達に大切な3つの力

   

大好きな曲と出会う。
歌ってみたくて仕方がなくなる。

毎日聴く。何度も聴く。
そして、一緒に口ずさむ。

鼻歌で歌う。
覚えたらカラオケ屋さんに行って、その曲を歌ったりもする。

これが一般に「歌が好き」と言われる人の、
一番多い行動パターンでしょう。

 

実際に歌を志すなら、もう一歩前に進みたい。

誰でもやることをやっているだけでは、
人より前に出ることは出来ません。

 

「歌の上達に大切な力」は3つ。

1.歌の魅力を細部まで分析できる力

2.カラダの細部とつながって、表現する力

3.自分の歌を的確にジャッジする力

 

「好き」というのと「魅力がわかる」というのは、
イコールとは限りません。

魅力を完璧に理解できたからといって、
実際に自分自身がそれを表現できるかどうかは、
全く別の次元のお話です。

 

歌の魅力を十分理解した上で、
自分自身がそれを的確に表現する。

自分のパフォーマンスを細部まで、
きちん、きちんと理解、分析する。

歌い出しから、音の切り、間まで、すべてに責任を持つ。

 

これ、実は、料理で考えるとわかりやすい。

あるレストランでご馳走になって、
「美味しい!」と感動した料理があるとしましょう。

美味しくて、美味しくて、何度も食べに出かける。
時々マネしてつくってもみる。
でも、自分の料理ではイマイチ感動できなくて、
また食べに出かける。

これは、誰でもやること。

一歩進むには、
どうしてそのお店で食べると美味しいのかを
徹底的に分析、考えることです。

材料が違うのか。
調味料が違うのか。
調味料の分量が違うのか。
調理器具が違うのか。
火加減が違うのか。
お皿やお店の雰囲気なのか。

そのすべてが「料理人の腕」ということになります。

「料理好きのお客さん」ではなく、
「腕のいい料理人」を目差すなら、

分析したデータを元に、
自分自身で何度も試行錯誤しながら、
それを再現できなくてはいけない。

本当にその料理の魅力を完璧に表現できているのか、
冷静に味わって、フィードバックしながら、
料理の腕を磨いていかなくてはいけない。

 

何度食事に出かけても、
どれだけ料理に一家言持っていようとも、
お客さんはお客さん。

「送り手」になるには、
それなりの覚悟と準備が必要なのです。

◆今日発行の【メルマガ365】から、『歌の3要素』シリーズがはじまります。一歩前に出るための歌のトレーニング方法を細かく、シリーズ化してお届けします。是非、チェックしてみてください。「バックナンバーまとめ読み」もお勧めです!ご登録はこちらから。

【第5期 MTL ヴォイス&ヴォーカル レッスン12】 受講受付中!

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

  関連記事

ヴォーカリストがリハーサルの前に最低限準備すべき3つのこと

昭和音大では『アンサンブル』という授業を受け持っています。 アンサンブルというと …

ネックの曲がったギター vs. 姿勢の悪いヴォーカリスト

姿勢やフォームが悪いヴォーカリストは、 ネックの曲がったギターに例えるのがもっと …

「無駄な努力」は、 果たして本当に「無駄」なのか?

「あ。これやってみたい!」 ちょっとした閃きに、心をつかまれて、 どうにもこうに …

「能書きが多いヤツ」は上達しない。

「歌って何才までうまくなるんですか?」 実によくされる質問ですが、 こればかりは …

欲しい情報は、ありとあらゆるところにみつかる

「カラーバス効果」ということばをご存じでしょうか?   心理学用語で、 …

「知ってる」だけで満足しないっ!

好奇心は学習のはじまりです。 「知りたい」という欲求こそが、 人を、勉強や練習や …

「自分のことば」になってない歌詞は歌えない!

役者さんがしばしばつかうことばに「セリフを入れる」というのがあります。 この「入 …

英語の歌詞が聞き取れない!?

かつて、日本で発売される洋楽のレコードには、 ジャケットと同じ大きさの、大判の歌 …

記憶に残る「デキるやつら」は一体何が違ったのか?

かつて、教えていた音楽学校では、ヴォーカルの授業を 定期的にインスト科の生徒たち …

「やる気はあるのにできない症候群」の処方箋

「練習しなくちゃいけないってわかってるでしょ? やらないと、できなかった自分に落 …