迷う余地なく行動できるよう自分を追い込む
あれは中学生くらいのことだったでしょうか?
新しい学年がはじまると、
初めて隣り合って座る同級生、
初めて習う先生、
真っさらな教科書、
真っさらなノート、
そして、ひとつオトナになった自分自身。
そんなすべてに、ワクワクしたものです。
そのワクワクが、
これからはじまる1年間への期待と夢を最高潮に盛り上げます。
自分自身を、どんな授業も熱心に聞き、
英語でも数学でも歴史でもすらすらとでき、
先生方や同級生たちの間でも一目置かれる、
「理想の自分」と重ね合わせて、陶酔感すら覚えるのです。
しかし、です。
実在の自分自身はいとも簡単に「理想の自分」を裏切ります。
授業は思ったほど楽でも、面白くもないし、
隣りに座った同級生は、ウンザリするほど退屈です。
ちょっとウトウトするうちに、
黒板の文字は容赦なく消し去られ、
やってこいと言われた宿題を聞き逃し。
同級生たちの教科書はマーカーで真っ黄色なのに、
自分の教科書といえば、落書きだらけ。
「そういえば、私、別に勉強好きじゃなかったっけ。」
「ま、学生の本分が勉強とは限らないしね。」
そんな風に開き直るまま、成績はどんどん負のスパイラルに陥ってしまう・・・
海外旅行に出かけ、英語ができなくて、
恥をかいたり、さんざん不自由な思いをしたりして、
舞い戻った成田で、
「次に海外旅行行くまでに、英語ぺらぺらになるぞ〜!」
と決意することを、「成田決心」というのだと、聞いたことがあります。
イメージの中の理想の自分は、めっちゃ前向きで、行動派。
おまけに一度決めたことは最後までやり通す努力型。
あぁ、それなのに・・・
なぜ人は、所詮、やれるはずもない、
自分なんかにできもしないことに、希望を抱くのでしょう?
いや。
人は、所詮本気でやる気がないことを、
なぜ、やりたいと思う、できる気がするのでしょう?
いやいやいやいや。
そもそも人は、そんなにワクワクする、
やれたらいいなと思うことを、
なぜ、やり遂げられないのでしょう?
4月になって、いよいよ新しい学年がはじまります。
新しい環境にワクワク、ドキドキ、
期待に胸を膨らませながら・・・
是非、考えてみて欲しいことがあります。
1年間の、1年後の自分が、具体的にどんなことができると想像することで、
自分はワクワクするのか?
単に、毎日授業に出ることか?
学校で学んだことを、自主トレなどして、自分のものにして行くことか?
それとも、学校生活を楽々とこなした上で、
どんどん自分の活動を広げて、ひとまわりもふたまわりも、
大きくなっていくことか?
ある程度、方向性を見定めたら、
それを具体的な行動に落とし込んで考えます。
毎日2時間自主トレ。
朝練。
週2でエクササイズ。
毎月ライブ・・・
可能な限り、具体的な数字で考えます。
そして、それを具体的なスケジュールとして、
自分のカレンダーに書き込んでみましょう。
「毎日2時間の自主トレ」なら、
月曜日は10時〜12時、火曜日は15時〜17時という具合に、
スケジュールをブロックします。
毎朝の朝練なら、「何時起床」と決めればいいし、
週2のエクササイズなら、曜日と時間を明確に決める。
そして、さらに、どこで、誰と、どのようにやるのか、
具体的に、具体的にスケジュールを決めていきます。
なんなら、スタジオや練習室を予約したり、
家族や友人、SNS等に宣言したり。
ライブハウスなら、さっさと押さえてしまったり。
大胆にやるほど、
巻き込む人が多いほど、モチベーションを上げられるでしょう。
とにもかくにも、迷う余地なく、
自動的にやらなくちゃいけないような状況に自分を追い込んでしまうのが、
どんなことでも、しっかり続けるコツになります。
人間は弱いものです。
誰もが言い訳の天才です。
どんなにやるって決めたって、
やってる自分が好きなんだってわかっていたって、
できなかったら自己嫌悪に陥るって知っていたって、
疲れているから、
忙しいから、
眠いから、
恋したから、
失恋したから、
お腹空いてるから、
太ったから・・・etc.etc.
数限りなく言い訳を思いつき、
今日だけは、今だけはと、怠惰な心に負け、
「だって、しょーがないわよね」と自己憐憫に身をまかせ、
気がつけば、また1年を棒に振ってしまうのです。
新しい環境に身を置いて、
モチベーションが高い今だからこそ、
ちょっとくらい高い目標も、やれる気がするはずです。
やれる気がするのは、実際にできることだから。
やりたくなるのは、できるだけの才能があるから。
後はやるだけ。
ホントにそれだけ。
Let’s do it!
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