大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「マネをする」という選択も、自分のオリジナリティの一部なんだ。

   

人に習うと、自分のスタイルが確立できないとか、
人のマネをすると、オリジナリティがなくなるとか、

そんなことを言う人の記事を読んだり、
話を聞いたりすると、

うん、うん、確かにその通りだよなぁ、
天才ってこう言う人のことを言うんだよなぁと、
思わず感心してしまいます。

一方で、先人の模写をしまくって腕を磨き、
個性を高めていった名画家たちのことや、
歌マネ、モノマネを得意とした、
有名アーティストの顔などが次々と浮かんで、

結局自分次第ってことなんだけどね、
と心の中で結びます。

そもそも、
オリジナリティあふれて仕方ない人は、
他人に影響されることは、全くないのかというと、
そんなことは絶対ない。

どんなに個性的な音楽をやっている人だって、
多かれ少なかれ、他者の影響を受けている。

それを、意識しているか、していないか、
認めるか、認めないか、みたいな差だと思うわけです。

で、「他のヤツのいうことなんか、聞くな」と、
言明してしまえる人は、
やっぱりそれだけ、自己肯定感が強くて、
感性も鋭い人。

だってさ。
そもそも、音楽ってなにから始めればいいのか、
歌うってどういうことなのか、
いや、練習ってどんなことするのか、
ってところで、大きく躓いて、もがき苦しむから、

今、自分にできることからはじめてみよう。
まずは、マネしてみよう、
あ、あの人に教えてもらおう、
って少しずつ前を向いて、匍匐前進をはじめるわけです。

凡人のあたしたちにとって、
自分のスタイルとか、個性とかって、
道の途中で少しずつ見出し、
研ぎ澄まし、
武器に変えて行くもの。

スタート地点で、
あれはだめ、これも違うと、
頭でっかちに考えて、苦しんで、時間を無駄にするくらいなら、
心のおもむくままに、どんどん他の人のマネをしたり、
力を借りたりしちゃえばいいわけです。

やり方は人の数だけある。
そんな生き方もオリジナリティの一部。

でもって、
人のマネしたくらいでなくなっちゃうオリジナリティなら、所詮それまで。
本物のオリジナリティって、
何をやっても、やらなくても、
カラダの内側からにじみあふれるものなんですよね。

—————
◆歌う心とカラダに活を入れる2日間。MTLサマースクール2022
リアルとリモート同時開催。
◆公式LINE、はじめました。ご質問やお悩みにもお答えしていきます。
ご登録はこちらから。

 

 - B面Blog, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 夢を叶える ,

  関連記事

「完全無欠」を更新する。

「自分の頭の中にあることのすべてを文字化したい」などという、 イカれた考えに捕ら …

「好きになれない課題曲」から徹底的に学ぶ方法

自分が心から感動し、お手本にし、研究した、いい音楽を、後進にシェアしたい。 &n …

人は、エネルギーに魅了されるのだ!

「音楽はエネルギー」     そんな風に考えています。 &n …

「バンマス・マニュアル」〜ライブ編〜

メンバーがあつまったら、さっさとライブを決める。 いや、なんなら、メンバーは集ま …

本質で語れ!

ヴォーカリスト、作詞家、歌の先生とキャリアを重ねて、 なかなかの「いいお年」にな …

「できない気がしない」自分を信じる。

「できない」「無理だ」と思えたら、人生はどんなに楽だろう。 高校時代から、現在に …

精度の高い”フォルティッシモ”を持て!

ダイナミクス、すなわち音量の強弱のコントロールが 音楽表現の大切な要素であるとい …

「誉めて!かまって!」症候群

誰かにかまわれたい、 誉められたい、 認められたいという欲求は、 人間である以上 …

歌詞が覚えられない?~Singer’s Tips #22~

「歌詞なんか、よく覚えられるね。」 と言う人がいます。 「そこまで真面目にやる必 …

間違えるなら大胆に間違える。

ここ数日、あまり慣れないことに取り組んでいます。 慣れないことに取り組んでいると …