「目立ってなんぼ」はさっさと卒業する
テレビは基本洋画一辺倒で、時折ニュースをつけるくらいです。
ワイドショーもドラマも苦手ですが、
何が苦手って、いわゆるお笑い系のバラエティ番組がホントに苦手。
本物の芸人さんが登場して、
「芸」と呼べるものを披露してくれる時は、
もちろん、楽しく見せてもらうのですが、
「お笑いタレント」と呼ばれる人たちが、
お互いの欠点をののしり合ったり、
笑い合ったりする感じが、
なんとも悪趣味で見るに堪えません。
一番たまらないのが、女性に向かって、
「ブス」とか「デブ」とかいう言葉を平気でつかうセンス。
「いじられてなんぼ」の世界です。
それを売り物にしてテレビに出ている時点で、
そんなことはとっくに覚悟の上でしょうし、
なんといわれようとも、
名前が売れた方が勝ちという考え方もあるでしょう。
しかしです。
それでも、なんでも、
絶対に心のどこかで傷ついているはず。
誰かに、お前はブスなんだから、それを売りにしろって、
言われたはず。
・・・そんな風に感じて、
同情したり、
言っている相手に対して嫌悪感を覚えてしまうのは、
長年たくさんのコンプレックスを抱えて生きて来た、
私だけなのでしょうか?
人間誰でも、多かれ少なかれ低俗なところはあります。
メタボのサラリーマンがへそ踊りを披露したり、
女性社員が給湯室で同僚や上司をこき下ろしてゲラゲラ笑ったり、
モテないオジサマが自虐ネタや下ネタで、
若い女性の注意を引こうとしたりするのも、
人間というもののあるべき姿の一部かもしれません。
破廉恥キャラ、
奇人変人キャラ、
切れキャラ、
不細工キャラ、
お馬鹿キャラ、
低俗キャラ・・・
普通の人ならコンプレックスに思うような、
なるべく隠したい所を前面に押し出し、
目立つようにデフォルメして、
ちょっとでも有名になりたい、
世の中に認知されたい人たちと、
自分の中に隠し持つ、低俗な部分を満足させてくれたり、
「こいつほどひどくない」と、
自分のコンプレックスを慰めてくれる存在を、
無意識に歓迎する人たち。
需要と供給のバランスが取れるから、
そうした番組の人気は
時代を超えて衰えないのでしょう。
「目立ってなんぼ」「いじられてなんぼ」と、
自分の奇異な部分を売りにして露出している間に、
芸を磨き、話術を身につけ、
本当の芸人さんに成長していく人も、もちろんいますが、
残念ながら、そんな人は極一握り。
ほとんどの人が「色物」扱いされ、
「一発屋」として、あっという間に消えてゆきます。
本当の意味で人に認められたいなら、
悪目立ちしたり、
奇をてらったりするだけではダメなのです。
歌も同じ。
大きい声が出る、
高い声が出る、
声に特徴がある、
語学が堪能である、
いろんな声色を使える・・・
目立つ特徴がある事は、
認知度を高めるために重要ではありますが、
「目立つこと」と「認められること」は、
絶対にイコールではありません。
本物を目差して、地力をじっくり育てる。
「悪目立ち」や「いじられる」はさっさと卒業して、
きちんと人として、音楽家として、
コミュニケーションを取れる能力を身につける。
そんな努力ができなければ、
一流になることはおろか、生き残っていくことも難しい。
最後に残るのは「本物」だけなのです。
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