大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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前進し続ける人に共通のキーワード

   

「もう」は「まだ」なり。「まだ」は「もう」なり。

私の文章によく登場するので、最早おなじみの父が、
よく言っていたことばのひとつです。

実際は、相場に関する格言の代表格のようですが、
父が相場などに興味があるはずもなく、
「もうこの辺でいいかなぁ」と思うときは、「まだまだ」だ。
「まだ大丈夫」と思う時は、「もうそろそろ」あぶない。

どんなことでも甘く見るな、油断をするな、怠けるな。
というような意味でつかっていたように思います。

そして、このことばは、父が残してくれた数あることばの中でも、
ことあるごとに頭をよぎることばのひとつ。

たとえば本番前の練習。
「もうこのくらいでいいかしら?」と思って引き上げるときは、
なにか落ち度があったり、
本番、肝心のことが抜け落ちたり。

たとえばセミナーなどで話している時。
「まだ大丈夫ね」とのんびりしていると、
あっという間に終了時間が来て、尻切れトンボで終わることになったり。

準備を甘く見ているつもりはないのだけれど、
「もう」や「まだ」の中には、どこか妥協や甘えがあるのかもしれません。

では、一体全体どこまでやるべきか?

どんなプロジェクトでも、完璧にやり遂げようと思いすぎて、
ぐずぐずと時間ばかりが経ってしまうことは、けして美徳ではないはずです。

 

現に、こうして文章を書いていても、
完璧に書かなくちゃ、カッコいいこと書かなくちゃと思いすぎて、
書けなくなってしまったのでは、意味がない。

完璧主義でぐずになるのは、臆病さの現れとも言えます。

え〜〜!!??

「もう、こんなもんでいいか?」がダメで、
「まだ、この段階ではこのくらいでいいんじゃない?」がダメで、
「完璧にやらなくちゃ」もダメで・・・

じゃあ、どうすりゃいいの〜〜?
そう。まさに、それこそが、毎日、自問し続けること。

「この辺か?」「いや、まだか?」
そんな風に粘るうちに、明白な「YES感」がふわりと訪れる瞬間があります。
自分の定めた締め切りを破らない。
持てる時間の中で、できる限り、最大限の努力をし、
「YES感」が得られるまで、徹底的に粘る。

そして「YES感」を得られたら、勇気を持って前進すること。

「こんなもんでいいか?」と建てられた手抜きビルはゆがみ、ひび割れ、カビが発生し、
「まだ、大丈夫でしょう?」と放置された老朽化した建物はちょっとした災害で倒壊する。

ただただ完璧さを追求すると、着工130年経った今も、完成のめどが立たない、
サグラダファミリアような建物を建てようとしてしまうかもしれません。

(いやいや。今日も、一部、理解を超えた天才のことは置いておきましょう。)

 

締め切り。YES感。そして勇気。
前進し続ける人に共通のキーワードです。

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