大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

発声の基本のチェックリスト

      2016/07/10

「役者はセリフを歌え。歌手は歌詞をしゃべれ。」
今日のEbidanに登場したブラザートムさんが
若者たちに言ったことばです。

「歌うように話す。話すように歌う。」

私も折りに触れ、そう説明しています。

歌いすぎる歌は、押しつけがましくて、聞く人がつらくなる。
表現オーバーな芝居は、イタい。

とはいえ、メロディーだけを上手に奏でるように歌われても興ざめだし、
役者に、「正しい表現」というやつで器用に語られても何も伝わらない。

声やカラダを使って表現することは何でも同じですね。

ボーカリストだった私が、歌のトレーニングだけでなく、
「話す」のトレーニングをはじめたのも、
歌うことと話すことは基本的に同じだという信念からです。
今日もセミナーでたくさんの女性にお目にかかりました。

彼女たちにしたアドバイスは、
ボーカリストたちに常日頃しているアドバイスと同じ。
というわけで、今日は発声の基本のチェックリストをつくってみました。

 

ボイトレを受けたことのない人には、
少しわかりにくいかもしれませんが、
アーティストもビジネスパーソンも、
声を使うみなさん、自分の声の点検のために、
できているかどうか、ぜひ一度チェックしてみてくださいね。
(思いつくまま書いたので、順番は不同です。)

 

1. 発声と呼吸のタイミングを合わせる
息が先に漏れていないよう、吐息と声帯の振動のタイミングをあわせる。
 

2. 口角をあげて、前歯を見せる
前歯が出ると高い周波数が出やすく、声の輪郭がくっきり、
声自体が明るくなります。
 

3. 声の「鳴り」を引き出す
大きい声はいらない。
カラダや、周囲が振動する感覚、響く感覚をつかむ。
 

4. 口の中のスペースを広げる
声の音色は声道の形状と状態に影響されます。
口の中のスペースを広げることで音色は豊かに。
 

5. 声帯を締める感覚をつかむ
声量が出ない人のほとんどが、
「声帯を締める感覚」をつかめていません
 

6. 姿勢を整え、呼吸を深くする
姿勢が悪いまま、カラダがこわばったままでは、
深い呼吸はできません。
 

7. 楽な音の高さの音色を伸ばしつつ、音域を広げる
自分という楽器にとって、最も鳴りやすい音を知ることは大切です。
とともに、自分自身の音域の可能性を広げます。
 

8. 重心を下げて、丹田に力を込める
重心が上がっている状態では、呼吸は浅くなり、
カラダの共鳴もうまくつくれません。
緊張したときも、同じような状態になります。
 

9. 視線を定めて、声を前に飛ばす
声は意識の方向に飛びます。
どこに向かって飛ばすのかをしっかり定めることが大切です。
 

10.発声時の力の流れを把握する
発声時の力の流れは、おへその下10〜15㎝から入って、
カラダの軸を駆け上り、頭から天井に向かってシュワッチです。
いかがでしょうか?

それぞれ、細かい解説はまたいずれ、ゆっくりアップして行きますね。21826231_s

 - 声のはなし

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

ノドをウィルスから守るためできる10のこと

東京の冬場の平均湿度は40~50% 。 そこまで低い数字と感じないかもしれません …

「ボイストレーナーなんかいらない人」になるための3つのポイント

昨日、『MTL ヴォイス&ヴォーカル オープンレッスン12』初日、 Unit1と …

頑固な、間違ったプログラムを解除して、「声」を解放する

カラダの構造や、発声のメカニズムを教えて、左脳からアプローチしても、 カラダに触 …

「向いてない」んじゃない、「イケてない」んだ。

「お前、無理してそんな歌、歌うなよ。 お前には似合わないぞ。」 「MISUMIち …

「声が低けりゃ威厳を感じるのか問題」を考える。

ヴォーカリストの悩みで一番多いのは、 「高い声が出ない」。 一方で、ビジネスパー …

人は「声の高低」でワクワク、感動する。

全っ然、キャラじゃないんで、 あんまり言わないんですが、 こう見えても、 ディズ …

声の温度。歌の肌触り。音の匂い。

ボタンひとつで音色を自在に変えられる、 いわゆるデジタル・シンセサイザーが登場し …

「聞こえませーん」

会議の時、 「聞こえませーん」と言われることが恐怖で、 必死に声を振り絞って話す …

「声」はエネルギー。

キャリアの節目を迎え、 「急に、自分の声が気になるようになって」と、 レッスンや …

情報の価値を最大化するための5つのヒント

おなじ曲を聴いているはずなのに、 聞き手によって、耳に入ってくる情報はまるで違い …