「ミュージシャン」という人生を生きる
先日マーリンズに入団が決まったイチロー選手が、
「現役最年長の野手として
開幕を迎えることになりそうな状況ですが・・・?」
という記者からの質問に、
「恐ろしいです」と言いながらも、
「25歳でも45歳に見える人がたくさんいます。
その反対であることができるように、
ちょっとずつ前に進みたいと思っています。」
と、答えていました。
カラダを使って仕事をする人には、
いや、おそらく、カラダではなく、頭を使って仕事をする人にも、
みな、遅かれ早かれ、年齢と向き合う時期が来ます。
ここではあえて、「戦う」ではなく、「向き合う」と書きたい。
「戦う」というのは少しネガティブな意味合いが含まれるからです。
サッカーの三浦知良選手は、かつて、
「自分は30過ぎて、実際に肉体的にはどんどん、
どんどん大変になっていく中で、
本当の意味のサッカー選手になれたのは最近かなと思えるんです。」
と言っていました。
年を重ねることによって、失うものも多いけれど、
得るものはもっと多い。
肉体だけの勝負では、もちろん、年齢が若い方が勝つでしょう。
でも、その先の世界が見えるとき、
音楽も、スポーツも、もっともっと意味深く、楽しいものになる。
若いうちは、時間を無駄にしないで、必死に音楽を学んで欲しい。
ときにガツガツ、ときに焦って、前へ前へと進んで欲しい。
若いうち、徹底的に、精一杯、学ばなければ、
やりきらなければ、次の10年、20年、音楽を続けられないからです。
ある程度の年齢に来たら、
今度は焦らず、じっくり音楽に取り組んで欲しい。
1年、2年、時間を焦る時期は、20代で終わり。
必死に、焦れば焦るほど、続けるのが辛くなるからです。
要求されるのはクオリティ。そして、音楽を本当に楽しめるマインド。
その2つこそが、自分のステージをあげてくれるでしょう。
人生の折り返しを過ぎた頃から、音楽は、ますます楽しくなる。
本当の楽しさを、やっと味わえるような気持ちになる。
大切なのは、やっぱり続けること。
続けられるような、自分でいること。
仲間を大切にすること。
そして、健康で、長生きすること。
今日、還暦のお誕生日を迎えたスーパーROCKドラマー、
向山テツさんのパーティーに参加して、
たくさんのミュージシャンと再会して、
そんなことを思ったのでした。
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