絶対的なクオリティしか口コミは起こせない
最近フリーで仕事をしたいという人が増えているようです。
時間に縛られない。
好きなことを仕事にできる。
一緒に仕事をしたい人とだけ仕事ができる・・・
確かに、カッコいい、自由な生き方です。
ミュージシャンのほとんどは、生涯フリーのようなものなので、
フリーで働くことの素晴らしさも、苦労も人一倍知っています。
若手ならともかく、ある程度キャリアのある人たちの中には、
ちゃんとお給料とボーナスもらえるのに、
何を好きこのんでフリーとかになりたいんだろうと、
疑問を口にするミュージシャンもいるくらいです。
フリーで仕事をもらい続けるためには、口コミを起こせなくてはなりません。
そして、口コミを起こすためには絶対的なクオリティが不可欠です。
もちろん、どんな仕事でも、巧みな営業で仕事をもらう人や、
ルックスやセックスアピールで周囲を虜にして仕事をもらう人、
とりあえず笑顔を振りまいて仕事をもらう人はいるものです。
今の時代なら、SNSで自己発信することで仕事をもらうという、
新手の方法もあります。
しかし、それらの方法はあくまでも、二次的なもの。
ボーカリストでいうなら、
どんなに口がうまかろうが、ルックスがよかろうが、
性格がよかろうが、
歌のクオリティとはなんの関係もありません。
人間関係だけで仕事をもらえる範囲なんて限られています。
若くて可愛いけど歌がイマイチ、なんて子を、
ビジュアル込みならともかく、
大切なクライアントに聞かせる曲のボーカルに
わざわざ呼ぶことはないのです。
性格がいいからというだけの理由で、
コンサートツアーのプレイヤーに抜擢されることも、
まずあり得ません。
例え、1〜2回、タイミングよく仕事をもらえたとしても、
そのままクオリティを上げられなかったら、次はありません。
では、ここでいうクオリティとは何か?
まぁ、「それがわからなければ、そもそも無理でしょう」と、
言いたいところですが、あえて説明するなら・・・
まず第一に、どんな時にも、相手の要求に最低限応えられること。
つまり、この曲を弾いてください、歌ってください、というお仕事なら、
現場で即座に曲を理解し、
最初から最後まで、ミスなく演奏できる。
リズムもピッチも気持ちのいいところにはまる。
ここまでできて、はじめて「プロ」という線上にギリギリのぼれます。
しかし、たいがいのクライアントの求めていることは、
そんな、誰でもできるような、「きちんとしたプレイ」ではありません。
そこで、重要になってくるのが、
クライアントのイメージを的確に音で表現できる力です。
イメージ・サンプルなどを聴かせてくれるクライアントは親切な方で、
たいがいのクライアントはプレイヤーではありませんから、
抽象的なことばで、自分のイメージを説明します。
「包み込むような感じで、壮大に弾いてください」
「幻想的な空気感で歌ってください」
正直、心の中で「わかんね〜よ」と唸ることもしばしばですが、
そこを、ぐっと押さえ、
相手の気持ちをくみ取って、音にするからプロなのです。
これでやっと、現場の人たち、みんなが納得する仕事として成立します。
「ありがとうございました。お疲れさまでした。」です。
要求通りの仕事を、決められた時間内できちんとやってくれる人。
そんな評判が立てば、次のお仕事の機会も得られるでしょう。
ここに、性格のよさや、インパクトのあるルックス、
マメな営業トークが加われば、総合力としての素質は充分あります。
上手に業界を渡っていけるプレイヤーになれる可能性もあるでしょう。
しかし、本当にプレイヤーとして口コミを起こせるのは、
もうワンランク上の人たち。
クライアントのイメージを圧倒的に越える。
もしくは、いい意味で期待を裏切る。
要求を充分満たしながらも、
他のプレイヤーにはない個性的な表現ができる。
予想を超えた感動を与えられる。
このクオリティまでいけて、はじめて、クライアントが
「すごい人来てくれたなぁ」と感動するのです。
もらうギャラに見合う仕事をするのは普通のプロ。
圧倒的にギャラの価値を超えるから、
次も絶対、あの人に頼もう、となる。
誰かにその作品を聞かせたくなる。
そのプレイヤーのことを話したくなる。
これが、本当の口コミが起きるクオリティというものです。
ちなみに、長年一線で活躍できるプレイヤーは、
この口コミ・クオリティのプレイに加え、
頭脳、性格、ルックス、人脈など、総合力にも優れている方がほとんど。
結局、本物のクオリティのある人しか生き残れないのです。
「絶対的なクオリティしか口コミは起こせない。」
どんな業界においても、同じですよね。
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