大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「知は力」・・・発声の科学を学ぶ意味

   

歌の上達の一番の早道は、
なんといっても優れた歌い手を徹底的に研究し、真似てみること。

大切なのは感性と運動能力の開発です。
イメージ力と、カラダとのコミュニケーション力と言い換えてもいいかもしれません。

じゃあ、知識なんかいらないじゃん?

そう。もしも、人の歌を聴いて、真似るだけで、
その人のカラダで何が起きているかを完璧に学び取ることができるなら、
どんな知識もいりません。
実際に多くの歌手たちはそうして歌を学んできました。

しか〜し、生まれながらの天才ならともかく、
この方法だけで学習しようとすると、実に何年もの歳月が必要です。
さらに言ってしまえば、よほどの感性や分析力がない限り、
いわゆる猿まね、「なんちゃって」で満足してしまい、
とうていプロフェッショナルレベルに達することはできません。

厳しい言い方をする人は、
「所詮、人に教えてもらわなくちゃいけないような人は
才能ないってことでしょ?」なんて言いますが、私はそうは思いません。

閉じていた感性が、
左脳を刺激することで一気に開花することがあることを知っているからです。

感性を呼び覚ますためにできることは、右脳を刺激することばかりではないのです。

どうしても開かなかった感覚の扉が、知に刺激されて、
いきなりバ〜ッと開くことがあるんです。
もちろん、知識ばかりが先行してしまったのでは、本末転倒ですけどね。

 - 未分類

  関連記事

no image
反面教師という大切な存在

「こんなピッチの悪い歌をわざわざ持ってきて、人に聴いてくださいって言える神経がわ …

no image
1年前の、1年後の自分との距離感。

1年という時間はあきれるほど速く流れて行きます。 その速度は生きた年月に比例して …

no image
解剖学の本から『笑筋』が消える日?

うまく笑えない子が増えている。 「にっこり笑って」と言われて、前歯をきらりと見せ …

no image
「お前よぉ、いい気になれよ」

かつてツアーのお仕事をした男性タレントのアンディーさん(仮名)が、 打ち上げの席 …

no image
ことはじめは手帳と日記を書くことから

遅ればせながら、新年おめでとうございます。 ことはじめは1年の目標、ゴール、おお …

no image
「こんちくしょうっ!」はチャンスの証

結果が出せない、大きな失敗をした、 彼氏(彼女)にふられた、人に認められない、陰 …

no image
好きになれないなら、理解しようと努める

「そんな、しょーもない曲ばかり聴いているから、歌がうまくならないんだ!」 ある先 …

no image
「点ではなく面で考える」

最近、心密かに想いを寄せている佐藤オオキさん。 昨年、オオキさんが出演していた …

no image
ボイストレーナーになるということ

先日、知人のライブを見に行ったときのことです。 ひとり、ライブ開始を待っていると …

プロフェッショナルの徹底ピアノ調整!

10月末から1週間ほど休業&家を留守にするということで、 思い切って、ピアノの一 …