大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

集中を阻むのは「準備の悪さ」

   

集中力を瞬時に発揮するためには、何らかのスイッチが必要です。

記録を競うスポーツ選手ならホイッスルやピストル、
カメラマンならファインダーをのぞき込んだ瞬間、
試験なら「はじめ」ということばでしょうか。

バンド演奏などで、このスターターピストルの役目をするのが、カウント。

「ワン ツー スリー フォー」

ミュージシャンなら、これが聞こえた瞬間に、
どんなにふざけていても、酔っ払っていても、スイッチオン。
一流プレイヤーほど、劇的な集中力を発揮します。

なにはなくても、出音がすべて。

このカウントからはじまって、曲のエンディングまでの数分間が、
そのプレイヤーの真価を問われる、真剣勝負の瞬間です。

時代劇で言うなら、刀が鞘から出されて、再び鞘に収まるまでの、
決死の瞬間。
集中できなかったら、ゲームオーバーなのです。

多くのアマチュアプレイヤーは、この「劇的な集中力」に欠けています。

とにかく雑念が多い。

そして、その雑念のほとんどは不安や自信のなさからきます。

この音、これで合ってるかな?
あの人、今、俺を見たけど、なんか、ヘマしたかな?
次は譜面のどこ行くんだっけな?
俺の音大きいかな?
指、ちゃんと動くかな・・・?

この種の雑念を振り払うのは簡単です。

準備。これに尽きます。

準備が悪いから不安になる。不安が雑念になる。
雑念が多いから集中できない。
集中できないからいいプレイにならない。

こんなに図式は簡単なのに、そこに気がつかない人がたくさんいるのか、
気づいているのに準備できないのか、
残念な人がたくさんいて、がっかりします。

自分に「?(はてな)」があったら、人は絶対集中なんかできませんよね?
「?(はてな)」と思いながら出す音が、人の心を動かすはずもないのです。
ちなみに、準備が悪い人ほど言い訳がうまい。
あの手この手で、自分が準備できなかったことを正当化しようとします。

出音は正直。問答無用。

真剣勝負で集中できなかったら、ザ斬ッ。ごめん!でおしまいなのですぞ。

(オチはちょっと古くなっちゃいましたけどね。)

 - 未分類

  関連記事

結果を出すことの意味

音楽の仕事をはじめて、徹底的にたたき込まれたのは、 「この業界、努力賞はないから …

no image
「好き嫌い」と「興味」は別物です。

大学のようなところで教えていると、 生徒たちに学んでほしい歌、教材にふさわしい曲 …

no image
発声のためのベスト・バランス

マジカルトレーニングラボの初回カウンセリングでは、 音楽経歴とともに、必ず運動経 …

いわゆる「男性のモテ声」の特徴

「婚活に役立つ声の出し方を教えてください!」 そんな声をいただきました。 ご相談 …

no image
絶対的なクオリティしか口コミは起こせない

最近フリーで仕事をしたいという人が増えているようです。 時間に縛られない。 好き …

no image
見せ方のうまい人の共通点

自分をどう見せたいか。どう見せるべきか。 人前に立つときのスタイルは誰もが気にす …

no image
「妥協点」と「落としどころ」は決定的に違う

複数の人とクリエイティブな作業をしていると、 必ず、意見が分かれるときがあります …

no image
夢のチカラ

「こんなことができたらいいな。」 「こんな風になれたらいいな。。」 毎日のように …

no image
プロフェッショナルには「覚悟」がある

高校時代から、たくさんの音楽仲間にめぐまれました。 みんな音楽が大好きで、 寝て …

no image
「知は力」・・・発声の科学を学ぶ意味

歌の上達の一番の早道は、 なんといっても優れた歌い手を徹底的に研究し、真似てみる …