“I know what I’m doing”
「今の、どうでした?できてませんでした?」
そんな質問を繰り返す子に限って、レッスンを録音さえしていないものです。
「自分のやっていることを、正しくジャッジ、チェックできてこそ、
プレイは上達する」と、
以前、『自分のチェック機構を磨け!』という記事でも書きました。
他人の耳や価値観ばかりを頼りにしているから、
冒頭のような質問になるわけです。
想像力や思考のない人、くふうのできない人は絶対に上達しません。
ボイトレをしていても同じです。
何度かアドバイスしながら声を出してもらって、
「あ、今いい声出たでしょ?」「あら、さっきの方がよかったね。」と言うと、
「そうですか〜?」「何が違うのかわかりません」
という答えが返ってくることがあります。
ときに、私の説明が悪い場合もありますし、
初心者なら、わからなくて当然のような微差でしょう。
しかし、ベテランのシンガーの中にも、ムッとしながら、
ただ、そう言う人がいるのです。
このとき、本来なら、「何が違うのか、なぜ自分にはわからないんだろう」と
疑問に思うべきなのです。
その疑問の答えこそが、
ベテランと言えるほど何年も歌っているのに、上達してこなかった理由なのです。
その道のプロフェッショナルが、自分のやり方に意見されて、
切り返して応えるときの英語の言い回しで、
“I know what I’m doing”(自分のしてることくらいわかっているよ)
ということばがあります。
文字通り、自分が何をしているかわからなかったら、
プロとは言えない。
プロもアマチュアも、人の評価まかせにするのは、いい加減やめましょう。
それは、「甘え」なんですよね。
関連記事
-
-
歌の試験の採点基準って?
学校のようなところで教えていると、試験というものがつきものです。 いわゆる前期試 …
-
-
話す発声と歌う発声?
「話す発声と歌う発声って違うんですよね?」 よく耳にする、不思議な疑問文です。 …
-
-
好きになれないなら、理解しようと努める
「そんな、しょーもない曲ばかり聴いているから、歌がうまくならないんだ!」 ある先 …
-
-
発声のためのベスト・バランス
マジカルトレーニングラボの初回カウンセリングでは、 音楽経歴とともに、必ず運動経 …
-
-
「歌う環境」をつくる。
5年ほど前、某レコード会社のディレクターさんに連れられて、 女性R&Bシ …
-
-
結果を出すことの意味
音楽の仕事をはじめて、徹底的にたたき込まれたのは、 「この業界、努力賞はないから …
-
-
「こんちくしょうっ!」はチャンスの証
結果が出せない、大きな失敗をした、 彼氏(彼女)にふられた、人に認められない、陰 …
-
-
疑問、質問、聞きたい話、ありますか?
脳内にどんどんわき上がってくる、ことばの断捨離の目的で、 ブログを可能な限り毎日 …
-
-
「仕事を舐めれば、仕事に舐められる。」
少し前のこと。 生徒のひとりが、 「先輩にデモの仮歌を頼まれて、 昨日レコーディ …
-
-
うまく行かないときは、自分自身の棚卸しをする
世の中は結構不公平にできています。 必死に必死にがんばっていても、 なかなか認め …
- PREV
- プロフェッショナルには「覚悟」がある
- NEXT
- 技術によって人間は進歩するのか、退化するのか?
