大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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芸事や勉強を長続きさせる秘訣

   

芸事や勉強は恋愛と同じです。

どんなに,「ためになるから」、「将来、役に立つから」、
などと自分に言い聞かせても、
ある種のケミストリー=化学反応が起きないと、
心から夢中になったり、誠心誠意がんばることはできません。

何をやっても長続きしないという人に、一番最初にして欲しいことは、
「そもそも、本当にそれをやりたいのか?と自問する」こと。

理性だけで自分を追い込むのには、限度があります。
ドキドキするほど、夢中になれることでなければ、ダメなんです。

中には、なかなかドキドキすることに出会えないから、
とりあえず、いろんなことに手をつけている、というような人がいます。
それでは、続かないのはしかたない。
情熱を小出しにせず、本物の出会いを、貪欲に探し続けることが大切です。

しかし、どんなに大好きなことでも、続けていると、
これまた、恋愛と同じで、
このままでいいのだろうか、と立ち止まってしまったり、
なんだか、うんざりしてしまったりするときがあります。

こんなとき、無理に自分を駆り立てるのは禁物。
モチベーションの低い状態で、何をしても結果が出ないどころか、
やがて嫌いになってしまう可能性もあります。

一所懸命やるほどに嫌になるのは、
さまざまな情報で、脳が飽和状態になっている証拠。

そんなときは、「勇気を出して、休んでみる」。

練習や勉強は、のべつ幕なしにやればいいというものではありません。
立ち止まることで、未消化だった情報の整理がついて、
きちんとあるべき場所に収まれば、次のステージに進むための空間が生まれます。

お休みしている間に「やっぱりやめた!」となってもいいんです。
それも学習の一部。
結局、そこまでだったということです。

 

そして3つめは、実はこれが一番大切なのですが、「身銭を切ること」。

人間はキャッシュにできています。

親や、事務所に習わされる、通わされるから身が入らない。
今ひとつ真剣になれない。

マジカルトレーニングラボで、一番自主トレやレッスンに熱心なのは、「自腹派」です。

なかでも、地方から、交通費まで自腹で負担して来てくれている人たちの
真剣度は、半端ではありません。

がんばって働いて、稼いだお金をつぎ込むんだから、
絶対に元を取らなくちゃ!という意識が働きます。

そんなときの人の集中力は、ものすごいものがあります。

学生よりも社会人になってからの方が、
習い事に身が入るのは、お金の価値を身体で感じられるからなんですね。

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