大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

芸事や勉強を長続きさせる秘訣

   

芸事や勉強は恋愛と同じです。

どんなに,「ためになるから」、「将来、役に立つから」、
などと自分に言い聞かせても、
ある種のケミストリー=化学反応が起きないと、
心から夢中になったり、誠心誠意がんばることはできません。

何をやっても長続きしないという人に、一番最初にして欲しいことは、
「そもそも、本当にそれをやりたいのか?と自問する」こと。

理性だけで自分を追い込むのには、限度があります。
ドキドキするほど、夢中になれることでなければ、ダメなんです。

中には、なかなかドキドキすることに出会えないから、
とりあえず、いろんなことに手をつけている、というような人がいます。
それでは、続かないのはしかたない。
情熱を小出しにせず、本物の出会いを、貪欲に探し続けることが大切です。

しかし、どんなに大好きなことでも、続けていると、
これまた、恋愛と同じで、
このままでいいのだろうか、と立ち止まってしまったり、
なんだか、うんざりしてしまったりするときがあります。

こんなとき、無理に自分を駆り立てるのは禁物。
モチベーションの低い状態で、何をしても結果が出ないどころか、
やがて嫌いになってしまう可能性もあります。

一所懸命やるほどに嫌になるのは、
さまざまな情報で、脳が飽和状態になっている証拠。

そんなときは、「勇気を出して、休んでみる」。

練習や勉強は、のべつ幕なしにやればいいというものではありません。
立ち止まることで、未消化だった情報の整理がついて、
きちんとあるべき場所に収まれば、次のステージに進むための空間が生まれます。

お休みしている間に「やっぱりやめた!」となってもいいんです。
それも学習の一部。
結局、そこまでだったということです。

 

そして3つめは、実はこれが一番大切なのですが、「身銭を切ること」。

人間はキャッシュにできています。

親や、事務所に習わされる、通わされるから身が入らない。
今ひとつ真剣になれない。

マジカルトレーニングラボで、一番自主トレやレッスンに熱心なのは、「自腹派」です。

なかでも、地方から、交通費まで自腹で負担して来てくれている人たちの
真剣度は、半端ではありません。

がんばって働いて、稼いだお金をつぎ込むんだから、
絶対に元を取らなくちゃ!という意識が働きます。

そんなときの人の集中力は、ものすごいものがあります。

学生よりも社会人になってからの方が、
習い事に身が入るのは、お金の価値を身体で感じられるからなんですね。

 - 未分類

  関連記事

ポジティブな面にフォーカスする。

「今の、自分ではどうだった?」 そんな質問を、歌い終えたばかりの生徒に投げかける …

いわゆる「男性のモテ声」の特徴

「婚活に役立つ声の出し方を教えてください!」 そんな声をいただきました。 ご相談 …

音楽という「箱」から取り出すもの

ずいぶん昔のことになります。 その奔放かつ、悪魔的とも表されたプレイスタイルに魅 …

no image
安定したパフォーマンスのカギは「微調整」 

「自分、毎日同じようにストレッチして、声出しするんすけど、 なっかなか思ったよう …

no image
ノドだけ労わりゃいいってもんじゃないので。

秋はスケジュールの動くときです。 勝負をかける大きなイベントを秋に持ってくるアー …

no image
1年前の、1年後の自分との距離感。

1年という時間はあきれるほど速く流れて行きます。 その速度は生きた年月に比例して …

no image
限りなく「百発百中」を目差す

プロとアマチュアの圧倒的な違いは、 そのパフォーマンスに対する信頼度です。 人間 …

あなたの呼吸、大丈夫ですか?

最近、息切れがする。 話をしてても、途中で、息苦しくなる。 年かなぁ・・・ そん …

no image
「点ではなく面で考える」

最近、心密かに想いを寄せている佐藤オオキさん。 昨年、オオキさんが出演していた …

「あきらめない」というチカラ

年越しに寄せて。 今年、私が学んだ一番大切なこと。 それは、「あきらめない」とい …