プロフェッショナルには「覚悟」がある
高校時代から、たくさんの音楽仲間にめぐまれました。
みんな音楽が大好きで、
寝ても覚めても音楽のことばかり考えているような連中ばかりです。
中には、「ギターがうまくなりたいから、毎日ギターと一緒に寝てるんだぜ」
なんて、イカした子もいました。
浪人中だというのに、親に内緒でバンドの練習に明け暮れ、
大事なコンサートの朝にバレて、勘当を申し渡されたと、
楽屋で号泣していた子もいます。
プロデュースチームをつくり、
1000人規模のホールをレンタルし、チケットを売り、
照明から音響、出演バンドとの交渉まで、
オトナの力を一切借りず、
すべて自分たちの力だけでやり遂げた、浪人生グループもいました。
彼らと一緒に時間を過ごせたことは、今でも人生の宝だと思っています。
魅力的な、華のあるプレイヤーもたくさんいたし、
いい声のボーカリストも、
それなりのテクニックがあって、
プロ間違いなしといわれていたプレイヤーもいた。
でも、その後、音楽の道に進み、
本当にプロと呼ばれるようになった人は、
知る限り、2人程度しかいません。
誰もが、均等にプロになるチャンスはあったはずなのに、
そして、あの頃、誰もがプロに憧れたはずなのに、
何が違ったんだろう・・・
ぼんやりとしか考えてこなかったことですが、
最近、学生たちを見ていて、その答えを見つけました。
それは、「覚悟」だということです。
覚悟ということばに明確な英訳がありません。
かつて愛用していた和英辞典には、
「決心(resolution)」、「悟り(enlightenment)」、
そして「あきらめ(resignation)」と書かれていました。
憧れだけではどこにもいけないのです。
漠然とした想いは、自分をどこへも連れて行ってくれない。
やる!と「決心」すること。
歩むべき道を見極め、「悟る」こと。
どんな結果になったとしても、他に選ぶ道はないのだと「あきらめ」ること。
真剣であればあるほど、腹をくくらなくてはいけない瞬間が、必ずあるものです。
その時に自分が選び取ることが、自分の人生を決める。
音楽である必要はありません。
いろんなことに夢中になって、
ひとつひとつ真剣に取り組んだ先に、本当の自分の道が見える時もある。
初志貫徹なんて、古くさいことばに捕らわれる必要もないと思っています。
ただ、「覚悟」のある人生を歩みたい。
自分という命の筋を通したい。
納得して、選び取って、生きる人生でありたい、
そうあって欲しい、と思うのです。
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