「仕事を舐めれば、仕事に舐められる。」
少し前のこと。
生徒のひとりが、
「先輩にデモの仮歌を頼まれて、
昨日レコーディングだったんですけど、音が取れなくて、
すごく時間がかかっちゃったんです。」
と言います。
そこそこ歌えるはずの彼が、そんなに時間がかかったなんて、
と不思議に思い、聞きました。
「その曲、スタジオで初めて聞いたの?」
プロの仕事では当たり前のようにあることですが、
そういう状況だったとしたら、アマチュアの場合、
時間がかかっても、無理はありません。
「いえ。ずいぶん前にもらってて。
そんなに難しくないと思ってたんですけど・・・」
つまり、端的に言えば、彼は、そのレコーディングを舐めたのです。
たかだか、先輩の手伝い。
お金がもらえるわけでもないし、
レコーディングもそんなにシビアなものでもないし。
適当にやればいいよな・・・程度のものと、
ろくに練習もしないで本番に向かった。
そういうことだったのでしょう。
どんな小さな仕事でも、
それが例え、ギャラにならなかったとしても、
縁あって引き受けたことなら、絶対に手を抜いたらダメ。
手を抜くなんて、150年早いんじゃいっ!
(つまり、死んでも、仕事は手を抜くなってことです)
理由は3つ。
1. 仕事を舐めて、手を抜けば、
やがて、自分のレベルが、手を抜いたレベルに下がる。
カラダに染みつくクセは、そう簡単には抜けません。
いざ、本当に力を出そうと思っても、カラダが裏切ります。
集中して、いい仕事をする習慣を、どんな時も持つこと。
それが、いざというときに実力を発揮するための準備です。
2. どんな機会も自分を高める修行と考えるべき。
アマチュアがレコーディングに参加できる機会なんて、
どのくらいあるでしょう?
人の書いた曲を唄って欲しいと頼まれることは?
まったくのオリジナル曲を自分なりに歌いこなす機会は?
そんな、滅多にない機会を一度でも無にしては絶対にだめ。
ベストのベストを尽くしても、
まだまだ実力は追いつかないはずです。
しかし、必死に実践を積んで、
泣きそうな思いでひとつひとつ乗り越えて、
少しずつ、少しずつ、本当の実力が育って行くものです。
学校で習うことなんて、ほんの入口でしかないのです。
3. レコーディングもライブも、一期一会。
先輩の仕事だからと甘く見て、
「また次にがんばればいいや」と思っても、
その、「次」はこないかもしれない。
いえ。こない。そう思った方がいい。
仕事を舐めて、時間かかって・・・
なんて、ボーカリストに、また頼もうと、人は思わないものです。
その先輩のリストから、彼の名前は消える。
それでは絶対に次につながりません。
人はメディア。
手を抜けば、「手を抜くやつだ」という評判が、
恐ろしいほど早く広がるのが業界です。
どんな出会いも大切にする。
どんな仕事もベストを尽くす。
難しいことなのだけれど、
本当に、本当に大切なことなのだと、
私も、日々胸に刻んでいます。
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