「仕事に困らないミュージシャン」の3つの特性
仕事がなくなると、景気だの、時代だのと世の中のせいにしたがるのは、
ミュージシャンばかりではないでしょう。
一方で、どんな時代になっても、多少の浮き沈みこそあれ、
仕事がちゃんとつながっていくミュージシャンというのは、常にいるものです。
そんな、売れっ子ミュージシャンたちを観察していると、3つの特性が見えてきます。
それは、「気楽であること」、「確かであること」、そして、「飛び抜けていること」。
「気楽であること」とは、
コミュニケーションが取りやすい、
所属事務所などが権利関係や、仕事内容にうるさくない、
言い値で仕事してくれる・・・など。
テクニックがあっても、飲み込みが悪い人は言語道断ですし、
こだわりが強すぎたりして、指示を出しにくい人は敬遠されます。
大御所といわれるベテランや、名のある人は、
「こんな仕事に呼んだら失礼かも・・・」と気を遣われがちですし、
ギャラが高いイメージのある人も、なかなか気楽には呼ばれません。
若手のうちは、誰でも、ある程度仕事があるのは、
ルックスやセンスの新鮮さに加え、この「気楽さ」からですね。
しかし、仕事のグレードが上がるとともに、
「気楽であること」よりも、「確かであること」が、より重要になります。
難しい仕事でも、時間内に確実にこなす、
ディレクター、アレンジャー、またはクライアントの要望を確実に満たす、
何をやらせても、きちんと形にできる。
そんなミュージシャンたちは、ギャランティが多少高くても、
作業時間が圧倒的に短い。
制作側からすれば、人件費やスタジオ代がかさむとき、締め切りが迫っているとき、
現場にクライアントが立ち会うときなどは、
もたもた仕事をする若手より、多少ハードルが高くても、絶対的に安心感があります。
確かな腕を持ち、仕事が早い、センスのいいミュージシャンとして、
関係者の心のリストに刻まれれば、
次第に呼ばれる現場のグレードも、ギャランティも上がってゆくというわけです。
そんな、腕の確かなプロ・ミュージシャンの中にあっても、
「とりあえず、あの人を呼べ!」という存在になるためには、
「飛び抜けていること」が必要不可欠です。
ロックと言えば、まずはこの人、
ラテンならこの人、
ステージングが猛烈にカッコイイのはこの人、という風に、
圧倒的な得意分野、専門分野を持つことで、
ミュージシャンとしてのブランドがハッキリし、関係者の記憶に刻まれやすくなります。
さらに、現場で関係者を感動させるほどの仕事ができれば、
確実に、次につながります。
気楽にコミュニケーションの取れる人柄。
どんな仕事も確実にこなす腕前。
さらに、誰よりも抜きんでた技術やキャラクター。
圧倒的に得意な分野。
これらに、営業力と行動力が伴っている人で、
仕事に困っている人はみたことがありません。
精進あるのみですね。
関連記事
-
-
歌の試験の採点基準って?
学校のようなところで教えていると、試験というものがつきものです。 いわゆる前期試 …
-
-
ぶっ壊すことを恐れない。
CMの作詞のお仕事を依頼されたときのことです。 某大企業のCMの歌詞を書かせてい …
-
-
「点ではなく面で考える」
最近、心密かに想いを寄せている佐藤オオキさん。 昨年、オオキさんが出演していた …
-
-
「おかあさん声」の主は・・・
昨日、近くのストアにお買い物に行ったときのとこです。 商品に見入る私の横で、親子 …
-
-
本番に強くなるマジックワード!?
「あんなにリハーサルうまく行ったのに・・・」 「どうして本番になると、いつもボロ …
-
-
話す発声と歌う発声?
「話す発声と歌う発声って違うんですよね?」 よく耳にする、不思議な疑問文です。 …
-
-
ボイストレーナーになるということ
先日、知人のライブを見に行ったときのことです。 ひとり、ライブ開始を待っていると …
-
-
1年前の、1年後の自分との距離感。
1年という時間はあきれるほど速く流れて行きます。 その速度は生きた年月に比例して …
-
-
「妥協点」と「落としどころ」は決定的に違う
複数の人とクリエイティブな作業をしていると、 必ず、意見が分かれるときがあります …
-
-
音楽という「箱」から取り出すもの
ずいぶん昔のことになります。 その奔放かつ、悪魔的とも表されたプレイスタイルに魅 …
- PREV
- 聴覚 視覚 筋感覚
- NEXT
- 好きになれないなら、理解しようと努める