ショービジネスの世界で生きるということ
昨夜はレッスンを受け持っているアーティストのライブに行ってきました。
初めての大箱でのライブということで、
もう何ヶ月も前からこの日のために準備を重ねてきた彼ら。
スポットライトが当たる瞬間までの、
彼らの何千時間もの時間を思って、
イントロがはじまった瞬間に感極まってしまいました。。。
高校時代、進学もそっちのけで、バンドの練習に明け暮れていた頃のことです。
付属の短大に持ち上がりで進学も決め、
毎日を楽しそうに過ごしていた友人に言われたことがあります。
「MISUMIたちって、何のためにそんなに一所懸命練習してるの?」
「とりあえずは文化祭だよね。やっぱり、ちょっとでもうまくなりたいから」
「文化祭って、演奏できるの、せいぜい40分くらいでしょ?
それっぽっちの時間のために、毎日そんなにあくせく練習するなんて、
考えられな〜〜い。」
なんだか、ガツンと胸に響きました。
友人が何の気なしに口にしたことばは、
長い長い時間が経った今も、ことあるごとに蘇ってきます。
昨夜、彼らのライブを見ながら、また、そのことばを思い出していました。
2時間半のスポットライトを浴びるための、何千時間もの苦闘。
ショービジネスって、結局、そういう仕事なんだよなぁと。
それは、どんなに成功したアーティストも変わりません。
ただ、スポットライトを浴びている時間が、ちょっと長くなるだけです。
好きだから。心の底から好きだから。
そんな思いではじめたこと、やめられないことが、
何よりも自分を苦しめる。
こんなことしてて、何になるんだろう?
所詮、才能もないのに、ただ、しがみつきたいだけじゃないのか?
何年がんばっても、結局モノにならなくて、
最後は挫折するだけなんじゃないのか?
そんな、自分との葛藤に打ち勝ったものだけが、
あの光の中に立ち続けることができるのです。
ライブが終わった後の、達成感に満ちあふれた笑顔。
私の顔を見るなり、緊張がほどけて泣き出した顔。
そんな彼らの顔を見ながら、
トレーナーとしての幸せを噛みしめるとともに、
これからまた、彼らが過ごすであろう、何千時間を思いました。
浴びる光が明るいほど、影もまた色濃くなるもの。
必要とされる限り、彼らの影を支えていきたいと思った夜でした。
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