大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

自分のチェック機構を磨け!

   

「ちゃんと練習したんですけどね・・・」

ちっとも上達していないことを指摘されて、
時々、こんな言い訳をする生徒がいて、ビックリします。

変化していない自分に気づかない。
自分の歌をちゃんと聴けていないってことを暴露しているようなもの。
これでは何十時間練習しても同じです。

そういうのは練習じゃなくって、単なる時間の無駄と言います。

同じ身が入らない、上達しない練習なら、
カラオケ屋さんで友達と楽しく歌っている方がよほどいい。
送り手になりたい人、結果を出したい人の時間の使い方とは思えません。

イメージ力を磨いた次は、
自分のチェック機構を磨くことが急務です。

1.ピアノを弾きながら、ゆっくりメロディを確認する。

2.音がしっかりと取れるようになるまで、ことばを取っ払って、
ラララでメロディだけを練習する

3.歌詞を朗読して、発音しにくい音がないか、
わからないことばがないかをチェックする

4.自分の歌を録音してチェックする。

5.なぜカッコ悪いのか、なぜうまく歌えないのか、どこがよくないのか、
徹底的に分析、修正、練習する

この1~5を必要に応じて繰り返す。
初歩段階の上達にはこれしかありません。

この中で最も大切なのは5.です。
自分の歌をチェック、分析する能力。
この力をいかに磨いていくかが、今後の上達の大きなカギになります。

はじめはどこがいいのか、悪いのか、よくないのかわからなくても、
悩みながら取り組むうちに必ず見えてきます。

こんな地道な、ある意味つらい作業に、没頭できる、
夢中になれる子は必ず伸びるんですよね。

IMG_3872

徹底的にチェックしすぎて歌詞の見えなくなった歌詞カード。
わかるほどに、できない自分に愕然とします。

 - 未分類

  関連記事

no image
本気でぶつかりあう。

一所懸命やっている子には、一所懸命教えたくなる。 めいっぱいがんばっている子は、 …

本番に強くなるマジックワード!?

「あんなにリハーサルうまく行ったのに・・・」 「どうして本番になると、いつもボロ …

no image
解剖学の本から『笑筋』が消える日?

うまく笑えない子が増えている。 「にっこり笑って」と言われて、前歯をきらりと見せ …

no image
1年前の、1年後の自分との距離感。

1年という時間はあきれるほど速く流れて行きます。 その速度は生きた年月に比例して …

no image
聴覚 視覚 筋感覚

歌がうまくなりたい、いい声になりたい、と思うなら、 研ぎ澄ましたい感覚が3つあり …

風邪のサインを見逃すな!

以前、『風邪をひいたら歌っちゃだめなんです』 という記事に書いたように、 レッス …

ぶっ壊すことを恐れない。

CMの作詞のお仕事を依頼されたときのことです。 某大企業のCMの歌詞を書かせてい …

飲み会で声が枯れちゃう3つの理由

「講演会などでは、いくら話しても声が枯れないのに、 その後の懇親会などで話してい …

no image
先人たちの名演に学ぶ

ボーカリストにとって、いや、ミュージシャンにとって、 最高の教材は先人たちの残し …

no image
問題意識とスリルが「学び」のカギ

人の話を素直に聞く、言われたことを一所懸命やる、ということは、 人にものを教わる …