歌の試験の採点基準って?
2016/12/16
学校のようなところで教えていると、試験というものがつきものです。
いわゆる前期試験、後期試験のような定期試験や、
大学の入学試験、入学試験の準備のための模擬試験、
そしてそのまた準備のための実力試験。。。
「歌」という基準の曖昧なものに、数字で評価をつけるのが、
試験における講師たちの仕事。
これはけして優劣をつけるためのものではなくて、
学ぶ人たちに指標を明示することで、
練習や学習の励みにしてもらおうというのが狙い。
基準が曖昧なものだから、
1人、1人、みんな歌い方は違って当然だからと、
教える側が評価や指標を回避していたのでは、
学ぶ側も、自分のレベルはどんな感じなのか、
このままの練習でいいのか・・・日々、不安ですものね。
もちろん、
無機的にピッチやリズムの正確さだけで点数をつけるカラオケの採点や、
才能のある人材以外はバサッと切り落とすためのオーディションの採点などとは、
まったく性質の違うものです。
では、定期試験はどんな基準で採点しているのでしょう。
講師や学校によっていろいろな考え方があるとは思いますので、
ここからは、あくまでも私見になりますが、ちょっとまとめてみました。
まずは、基礎の基礎。いわゆるフォームです。
「歌うため」というより「人として」、正しい姿勢を取れているか?
カラダの最大限のパフォーマンスを引き出せる効率的な呼吸ができているか?
歌う時のチカラのベクトルをきちんと感じられているか?
顎回り、首回り、肩回り、余計な息みはないか?
口はきちんと、自然に開けられているか?
この基礎の基礎は一生もののフォームです。
プロで、うまく歌えなくなってしまう人や、伸び悩む人は、
必ずここに問題があります。
次が基礎力。
まずは声。
ピッチやリズムがどんなによくても、声帯をきちんと鳴らせていない声は
心もとなく、魅力の薄いものです。
さらに、正確なピッチで歌えているか?
リズムをきちんと感じられているか?
歌詞はしっかり聞こえて来るか?
さらに、音楽的な表現力。
心地よい音色で歌えているか?
気持ちよい、スリリングなフレージングができているか?
歌詞の意味をしっかり理解して、伝えられているか?
音楽的に、聴いていて心地よいか、もっと聴きたくなるか・・・
本当の魅力の部分ですね。
時には、試験の採点中だということを忘れてしまうくらい、
素晴らしい歌を歌ってくれる生徒もいます。
ところで、学生の採点には「プラスアルファ」という要素がつきものです。
日頃の学習態度がいい、
前回すごく成績が悪かったのに、今回はすごくがんばった・・・などの努力点。
受け答えがいい、表情がいい・・・などの心証点。
反対に、選曲のセンスがない、自分の音域が考慮されてない、
わざわざ英語の曲を選んでいるのに発音がなってない・・・などは、
大いにマイナス点の対象になり得ます。
とにもかくにも、
今の自分はどんな状態なのか。これから何をがんばったらいいのか。
そこを知って、はじめて次のゴールが見えてくる。
試験を受ける意味は、そこにあります。
点数を見て一喜一憂している場合ではありませんね。
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『試験当日、採点者の主観に訴えかける要素とは?』。
人間が人間を評価するとき、けして排除できない「主観」について書いています。
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