大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

ピッチの悪い歌が致命的な理由

      2015/09/30

音楽はピッチ(音の高さ)という概念があるから成立するもの。

どんなにリズム感がよくても、
どんなに音色表現が優れていても、
どんなにどんなに完璧にことばを発音し、伝えられても、

だから、
ピッチが悪い歌というのは致命的なんです。

歌というのはたいがい楽器と一緒に演奏するものですが、
その楽器の奏でる音と歌のピッチがあっていないということを、
聞く人は本能的に感じます。

専門的な知識がない人が聞いても、
「なんだか、下手だな・・・」と感じる歌は、
たいがいの場合、まず、ピッチがあっていないから。

人は、基準になる音と、上に乗っている音の周波数の比率が整っているとき、
それを心地よいハーモニーと感じるといいます。

不協和音と言われるのは、その比率が崩れて感じられるハーモニー。
そのアンバランスさも魅力なわけですが、
比率が崩れるどころか、基準の音と微妙にずれた音、
いわゆる、ピッチの悪い音というのは、生理的に気持ち悪いだけなのです。

何年歌を練習しても、どうも評価があがらない、という人は、
一度、自分の出している音のピッチを確認してみてください。

TUNING

方法は簡単です。

1.鍵盤楽器で任意の音を出す。
(弦楽器は、楽器そのもののチューニングをキープするのが難しいので、
この場合はお勧めできません。)

2.その音に合わせて、声を出す。

3.それをチューニングメーターで確認し、修正する。
(アプリなどでも可)

それだけです。
±4Hz以上の誤差ができると、気持ちの悪い領域に入ってきます。

大きい声、小さい声、
あらゆる音色の声でチェックし、修正を重ねてください。

チューニングがあう感覚をひとたび感じられたら、
あっという間にピッチを自動調整する習慣が身につきます。

速いテンポの歌も、滑らかな、巧みな音の表現も、
一音一音のピッチが悪ければ、それは気持ちの悪い音の積み重ねに過ぎません。
悩み苦しむのは、正確なピッチ感が身につくまでのほんのしばらくの間。
一度手に入れた正確なピッチは、一生の宝です。

一生、どうにも気持ちの悪い歌を歌い続けるくらいなら、
ここらで一念発起しませんか?
しましょう!

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 未分類

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

いわゆる「男性のモテ声」の特徴

「婚活に役立つ声の出し方を教えてください!」 そんな声をいただきました。 ご相談 …

「ハモらない」時の覚え書き

人とコーラスをやっていると、 「あ、気持ちいい!」と思えるときと、 「う〜〜、ハ …

本気でやりたいなら、「なんか」やれ。

アーティストやタレント、声優の、 新人育成を担当させていただく機会が多々あります …

no image
ノドだけ労わりゃいいってもんじゃないので。

秋はスケジュールの動くときです。 勝負をかける大きなイベントを秋に持ってくるアー …

飲み会で声が枯れちゃう3つの理由

「講演会などでは、いくら話しても声が枯れないのに、 その後の懇親会などで話してい …

音楽家なら必ず鍛えたい「耳」のお話

耳を鍛えることは、 曲を理解する上でも、楽器や歌の技術や表現力を磨くためにも、 …

習慣化するための3つのコツとくふう

自主ロックダウンスタート以来、 新しい習慣がいくつかできました。 毎朝のヨガ(3 …

「一音」にこだわる

「とりあえず、ラララで歌って。」 歌の練習で、一番最初にするのは、 歌詞も曲想も …

基礎を忘れるために、基礎を学ぶのだ!

ボイトレが一番チカラを発揮するのは、すべてを忘れて、表現に没頭するとき。 フォー …

no image
話を聞かない生徒 話をさせない先生

「これは、こんな風に歌うのよ」と、 お手本を聴かせるためにこちらが歌い出した瞬間 …