「立ち上がり」が悪いから歌がシャキッとしないのだ
2023/03/06
音の「立ち上がり」の大切さに気づいていないばかりに、
イマイチ、歌がシャキッとしないという歌い手が、残念ながらかなりの割合で存在する。
「立ち上がり」を「リズムが遅れたり突っ込んだりしないように」程度に、
フワッとしか捉えられていなかったり、
いわゆるカラオケ用語である「しゃくる」か否か、くらいに考えていると、
いつまで経っても歌の精度はあがらない。
◆「立ち上がり」が悪い歌の特徴
・歌にスピード感がない。
・ビートの点が曖昧になる。
・声やことばの抜けが悪い。
・メロディがくっきりしない。
・音色の輪郭がぼやける。
では、歌の立ち上がりの要素とは何か?
◆歌の「立ち上がり」の要素は3つ
1. 音が出た瞬間に確実にその音を捉えられているか?
狙った音にバシッとあたらず、音を探りながら歌っていると、メロディの印象がぼんやりする。
声を出して、目的の音にたどり着くのが遅れるということは次の音にうつるときも、そのまた次の音にうつるときも常に遅れ気味になるということ。
つまり、テンポの速い曲になると、ひとつも音があたらないままメロディが進行してしまうことになって、いただけない。
ちなみに、カラオケでよく使われる「しゃくる」は、プロフェッショナルな現場ではネガティブに使われることが多い。
2. リズムの点をパキンと立ち上げられているか?
リズムの点、すなわちビートがくっきり立たないということは、リズムがぼんやりするということ。
他の楽器とシンクロして、時間軸をパキンと鋭く点で捉えるべきところ、他の楽器とずれ、点がふんわり、ぼんやりすれば、リズムは曖昧になる。
本来なら抜けるはずの音も抜けてこない。
歌のスピード感もなくなってしまう。
3. ことばをクリアに発音できているか?
“s”や”t””k”などなどの子音は高い周波数を持っているため、確実に届くようにクリアに発音できていれば、当然、音のピークも立ってくる。
4. アクセント/アタックを確実につけられているか?
アクセント、アタックは音のピーク。
音が出た瞬間、音が移動した瞬間、もしくは特定のことばを発音したときの瞬間の音量を一番大きく、その持続音を減衰させることでこの効果が出る。
このとき、ピークがつくれない、すなわち、立ち上がりが悪いと、全体音量が大きくなるだけで、シャープな印象にならない。
5. 音の始点から最もよい音色を出せているか?
出た瞬間に最も鳴る、よき音色に到達させられるか否かは、楽器そのものの音色の印象を大きく左右する。
音の出だしから、よき音色が鳴ってくるまでのインターバルがある楽器で、テンポの速い曲を演奏すれば、楽器の音色の印象は「イマイチ鳴らない楽器」になってしまう。
鳴らない楽器の音は抜けない。
長くなったので、「立ち上がり」の詳しい練習方法、セルフチェック方法はまた次回!
“The プロフェッショナル”
専門的すぎるかと、回避してきた情報を、こちらのカテゴリーにまとめていきます。
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