選ばれるミュージシャンであるための3つの資質
長年、音楽業界で優れたミュージシャンたちと
たくさんのお仕事をさせてもらってきて、
しみじみと、
音楽の道で成功するには、
理解力と対応力、そして発想力の3点セットが、
必要不可欠なのだなと思います。
現場では、
プロデューサーやディレクター、
はたまたアレンジャーが、
自分たちの頭の中で鳴っている音、
見えている世界観を実際の音にするために、
あらゆるアプローチでミュージシャンたちに要求を伝えてきます。
「青い空、青い海で風を感じてるイメージで」とか、
「高速を160㎞くらいでぶっ飛ばしてる疾走感」などと、
抽象的な説明をされることもありますし、
「ここはスティングの”English man in NY”のイントロみたいな」とか、
「メタルっぽい音で、ゾンゾンってバッキング弾いて」など、
“もちろん知ってるよね?”という曲の例が出てくることも、
実際のサンプル音源を次々かけて、
「ま、こんな雰囲気で」などとオーダーされることもあります。
ここで、「青い空って・・・?」、
「ゾンゾンって・・・?」
「こんな雰囲気って・・??」
と頭を抱えてしまうようでは、仕事になりません。
売れてる人って、ホントにこういう時の理解力が高い。
例えば、「青い空や青い海」には音はないですよね?
でも、そういう場所でかかっている音楽や、
そういう場所を思い出す音楽というのがある。
それがカリブの海なのか、湘南の海なのか、
それとも日本海なのか、
「音聴きゃわかるよね?」というのが、
オーダーしてくる人たちの本音でもあります。
ミュージシャンを選ぶ時も、
コミュニケーションが容易な人、
自分と共通言語が多い人、というのが基準になるもの。
さらには、そのイメージをしっかりと音にできる実力があること。
プロデュースサイドのイメージを越える音にできる、
対応力があれば、バッチリです。
「いやー、素晴らしい!
イメージを完全に越えました!」と喜んでもらえれば、
次も必ず呼ばれます。
そして、最後は、
制作サイドがアイディアで迷ったり、困ったりしている時に、
さらっと、悩みを解決してあまりあるアイディアを提供できる、
先方が予想もしていなかった素晴らしいアイディアを提案して、
作品をぐっと盛り上げるなどの発想力。
この3つのバランスは人それぞれで、
どれかひとつでも、ぐっと秀でているものがあれば、
お仕事がくる確率はぐっとあがりますが、
欠けているものがあってはダメらしい。
ただ単に楽器の練習をするだけじゃなく、
いい音楽をたくさん聴くこと。
ミュージシャンの友だちをたくさんつくって、
コミュニケーション力を磨くこと。
たくさんの人生経験を積んで、イメージ力を高めること。
優れたミュージシャンになるためには、
全方位的な努力が必要なんですね。
◆9月4日、YouTubeにて公開中のMTLオンライン12を最大限に活用するためのMTL “Basics”オンラインセミナーを開講!個別のポイントアドバイスも!詳しくはこちら。
関連記事
-
-
どんなに優れたアイディアも、 形にならなければ存在しないも同然
昔読んだ本に、「完璧主義のぐず」ということばがありました。 とにか …
-
-
自分自身を「スポットライトのど真ん中」に連れて行く。
スポットライトって、すごいなぁと、 ヴォイトレに来るアーティストたちの、 コンサ …
-
-
BPM1目盛りの職人芸
BPMということばが普通に使われるようになったのは、 いつの頃からかわかりません …
-
-
バンドのメンバーに歌をけなされたら、真っ先に確認すべきこと。
リハやライブでバンドのメンバーに歌をけなされた、 という悩みを相談されて真っ先に …
-
-
感情に翻弄されない クールに傾きすぎない
ずいぶん昔、サラ・ヴォーン(だったと思う)の来日公演を かぶりつきの席で見て、 …
-
-
ヴォーカリストのための「練習の3つのコツ」
プライベートレッスンでも、MTL12でも、そして音大でも、 クライアントやアーテ …
-
-
ピッチが悪いの、気づいてます?
少し前のこと。 知人に誘われたとある会社のパーティー会場の片隅で、 いきなりジャ …
-
-
カツゼツッ!!!
普段はほとんど興味のないテレビですが、 さすがに昨今、 ニュースくらいは見ておか …
-
-
「気づけない」から上手くならないってことに早く気づく。
中学1年の夏休み、 長年の夢だったピアノを、 やっとの思いで買ってもらいました。 …
-
-
「自分の本当の声」ってなんだ?
「私の本当の声ってどんな声なんでしょう?」 シンガーやパフォーマーに限らず、 一 …
- PREV
- "トレーナー"というものの役割を思う。
- NEXT
- やっぱり私、変態でした。