ヴォーカリストこそ楽器を練習して「演奏の当たり前」を知る。
2016/03/11
楽器をうまくプレイできるからといって、
歌もうまく歌えるかというと、もちろん、そんなことはありません。
プレイヤーの多くが、声や歌にコンプレックスを抱えていて、
素晴らしいヴォーカリストの歌を聴いては、
「あんな風に歌えたら、人生違ったろうなぁ」と、ため息をついたりします。
ヴォーカリストとプレイヤー。
それぞれ、別物の資質に支えられているのです。
一方、プロ、アマチュア問わず、ヴォーカリストの多くが、
こどもの頃からピアノやエレクトーンを習っていた、
中高生の頃、ブラバンをやっていた、
バンドをはじめて、独学でギター&ヴォーカルをやっていた・・・
などなど、何かしらの楽器をたしなんでいるもの。
アカペラ・ヴォーカルや、ソロのインスト以外、
音楽というのは一つの楽器だけで成り立つものではありません。
また、「声」という楽器は一度に一つの音しか出せません。
それぞれの楽器とのアンサンブルをある程度理解していることは、
自分自身の歌の上達スピードや精度を上げるためにも、
一緒に演奏してくれる仲間とのコミュニケーションを取るためにも、
そして、オリジナル曲をつくるためにも、必要不可欠なのです。
別に弾き語りができるほどの腕前になる必要はありません。
楽器を練習してみると、
演奏というものの、さまざまな「当たり前」に気づくのです。
1.例えば、ギターならピッチを、ピアノなら調律を、
正確に合わせないと気持ち悪いこと。
2. 左右の腕の、または2本の指の
タイミングが少しでもばらつくとリズムが見えづらくなること。
3.一定の強さ、長さ、音色を保って演奏できることは、
安定した演奏のために必要不可欠であり、表現力の基礎となること。
4.楽器にはそれぞれの特性、個性、役割があるということ。
5.達人たちが、ある楽器を演奏するためにつかわれるすべての筋肉は、
柔軟で、強靱で、持久力と瞬発力があって、
無意識のレベルでコントロールできるほど、
自らの意識や感情と細部に至るまで繋がっているのだということ。
そんな「演奏の当たり前」を知ることで、
ヴォーカルという楽器の当たり前や、
アンサンブルの当たり前を理解できます。
自分の「声」という楽器が、その役割を果たすために、
必要かつ、不可欠な準備や資質とは何かを学ぶことで、
さらにヴォーカリストとしてのクオリティを上げることも可能です。
脳の構造上、楽器は年齢と共に学ぶことが難しくなるそうです。
「なんにも楽器弾けないのよ」という人は、
まずはお手軽なキーボードでも、手に入れて、練習を始めてみませんか?
練習を始めるだけで、音楽の聴き方、聞こえ方が、
これまでとずいぶん違ったものになることに気づくはずですよ。
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Comment
アメリカのコミュニティコーラスで2年、リズム感や音楽全体を正しく歌うなど、それなりの貢献をしてきたつもりです。
それでもソロには選ばれない。アメリカ人独特のハリのある声のある人がソロになるのです、
今回歌った「Joyful Joyful]は日本でソロを歌ったこともあり、期待していたのですが、やはりパワフルな先輩女性に。
聞いて納得するのですが、失意感が強い。次回はジャズバンドに転向して磨きを歌とピアノに磨きをかけてまた、合唱に戻りたいと思っています。
これは逃げでしょうか?
>長屋久美さん
コメントありがとうございます。
けして「逃げ」とは思いません。さまざまな角度から歌を学んでみることは重要だと思います。
アメリカ人は「鳴る声」「響く声」を評価する傾向があるように思います。
全身が鳴るような声、抜けのいい響きを意識して歌ってみてくださいね。がんばってください!