めんどくさいけど大事な「呼吸の話」
2016/07/10
今日はちょっとマニアックに呼吸のお話をしましょう。
肺はあばら骨の中いっぱい、左右にひとつずつついている、
大きな風船のようなものです。
何度も言いますが、吸気は肺にしか入りません。
「お腹に空気を入れて」というのは、あくまでも感覚的なことで、
肺以外に空気が入る場所はないんです。
肺は風船と同じで、筋肉がありません。
(ちなみに、風船の場合は、こちらの空気入れを使うと便利です(^^)
そこで、主に活躍するのが、あばらの下側に、
胴体を真っ二つに分けるようについているドーム型の筋肉、横隔膜です。
横隔膜の真ん中には穴が空いていて、
胃とか腸とか十二指腸とかは、
全部その下にあるんですね。
横隔膜が緊張して下がると、胸郭の内部の気圧が下がる。
空気は気圧の高い方から低い方へ流れるので、
空気がカラダの内部に入ってくる。
「お腹に空気を入れなさい」と言われるのは、
横隔膜が下がると、今度は横隔膜の下方の圧力が上がることで、
お腹が出るからです。
(同時に内臓も柔軟にぶちゅっとつぶれちゃってます)
ところで、筋肉は一方方向に緊張することと、
元の状態に戻るため、弛緩することしかできません。
つまり、横隔膜は息を吐くときには、ただゆるむだけ。
横隔膜の緊張がゆるむと、肺の弾力性で自然と空気は外に出ます。
寝ている時の呼吸などは、この横隔膜の自然な動きで充分ですが、
歌う時、スピーチする時など、
呼吸の量やスピード、圧力を一定にコントロールするためには、
それ以外の筋肉が活躍しなくてはなりません。
その時に活躍するのがお腹や背中の下方の筋肉や、骨盤の下についている筋肉。
それらの筋肉をしっかり意識して使えるようになると、
呼吸は格段に安定します。
(実際には肋骨の間の筋肉、肋間筋も重要な役割を果たすのですが、
その話はまた今度)
「お尻の穴をしめなさい」という説明をされる人もいると思いますが、
私はおへその下、10~15㎝からカラダの中心、
丹田向かう力を意識するように指導しています。
おへその下から丹田に水平に向かった力は、
カラダの軸と出会うと同時に垂直に軸を駆け上って、
頭のど真ん中から上に向かって「しゅわっち」と抜けて行く。
この感覚がもっとも呼吸と発声をスムースにしてくれると考えています。
もちろん、人には個人差がありますから、
自分がわかりやすければ、どう意識しても結構です。
筋肉の話は面倒だけど、メカニズムを一度頭に入れておけば、
フォームが崩れたときに修正することが容易になります。
これからも時々、こんなマニアックなポストを上げてみようと思います。
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