「好きなことを仕事にできていいですね。」
「好きなことを仕事にできていいですね。」
はじめてこう言われたのは、
まだ20代半ばくらいのことだったでしょうか。
当時の私にとって、これほど不思議なことばはありませんでした。
「え?じゃあ、みんな、嫌いなことを仕事にしているの・・・?」
人はそれぞれ、いろいろな事情があるでしょうから、
今日の記事は、私のひとりごととして聞いてくださいね。
私の人生に「嫌いなことを仕事にする」という選択肢はありません。
今までもなかったし、これからもないでしょう。
プロだから偉そうに言ってる、なんて思わないでください。
ろくに仕事も、お金もなかったアルバイト時代からそうなのです。
アルバイト求人雑誌で仕事を選ぶときも、
基準は、時給や待遇よりも、その仕事に興味があるか、ないか。
実際、お気に入りだったバイト、
本の取り次ぎ店や、東京タワーのおみやげ物売り、
スーパーのマネキン(試食などを進める仕事)などは、
他のどんなバイトよりも時給も待遇も悪く、
友達に呆れられたものです。
時給や待遇がよくても、興味の持てないバイトは、
時間の経つのが遅い、同じバイトの子たちとも仲よくなれない・・・
苦痛ばかりで、結局続きません。
仕事も同じです。
人間は好きなことしか一所懸命出来ない。
一所懸命やることでしか成功できない。
それは、頭で考えて決めたことではなく、経験的に学んだ事です。
打ち明けてしまえば、
20代〜30代の頃の私は、仕事がうまくいっていたときも、
ずっと孤独感や苦悩を抱えていました。
音楽が、私の心をつかんで離さない。
当時の私にとって、音楽は、
自分を高揚させ、多くの希望や夢を与えてくれるものであるという以上に、
ある種の呪縛であり、
オブセッションであり、執着であり、
なにひとつ思い通りにならない、
心の中で暴走しては、うまく表に出すこともできずにこの胸を叩き続ける、
まぁ、ポルターガイストというか。。。
そういう、強烈なエネルギーでした。
1年365日、起きている時間のほぼすべてが、
音楽や創作と共にあり、
それが、たまらなく幸せなときももちろんあったけど、
多くの場合が、それは身を切り裂くような苦しみで、
こんなに苦しいのに、なぜやめられないんだろうと、
自分自身を呪ったことさえあります。
いつか、白馬の王子さまが現れて、
私に音楽なんか必要ないと思わせてくれる日を、
大まじめに祈ったこともあるくらいです。
ビジネスや出版の世界でさまざまな人と出会い、
それぞれの道で成功している人たちは、みな、多かれ少なかれ、
かつての私の音楽に対する思いと同じくらい、
仕事に対して、激しい思いや執着を持っていることを改めて知りました。
人間は好きなことしか一所懸命出来ない。
一所懸命やることでしか成功できない。
好きなことが見つかる人生はラッキーです。
その、好きなことに、人生をかけてもいいと思えるくらい、
本気になれるなら、そんな人生はハッピーです。
そして、どんな困難や苦しみも乗り越え、なお、
その好きなことを続けられて、
それで生計を立てられるなら、それは、おそらくギフトです。
歩むべき道は、いつも自分の心が知っている。
そう信じて進むのです。
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