大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「好きなことを仕事にできていいですね。」

   

「好きなことを仕事にできていいですね。」

 

 

はじめてこう言われたのは、
まだ20代半ばくらいのことだったでしょうか。

当時の私にとって、これほど不思議なことばはありませんでした。

 

「え?じゃあ、みんな、嫌いなことを仕事にしているの・・・?」

 

 

人はそれぞれ、いろいろな事情があるでしょうから、
今日の記事は、私のひとりごととして聞いてくださいね。

 

私の人生に「嫌いなことを仕事にする」という選択肢はありません。
今までもなかったし、これからもないでしょう。
 

プロだから偉そうに言ってる、なんて思わないでください。

ろくに仕事も、お金もなかったアルバイト時代からそうなのです。

 

アルバイト求人雑誌で仕事を選ぶときも、
基準は、時給や待遇よりも、その仕事に興味があるか、ないか。

 

実際、お気に入りだったバイト、
本の取り次ぎ店や、東京タワーのおみやげ物売り、
スーパーのマネキン(試食などを進める仕事)などは、
他のどんなバイトよりも時給も待遇も悪く、
友達に呆れられたものです。
 

時給や待遇がよくても、興味の持てないバイトは、
時間の経つのが遅い、同じバイトの子たちとも仲よくなれない・・・
苦痛ばかりで、結局続きません。

仕事も同じです。

 

人間は好きなことしか一所懸命出来ない。
一所懸命やることでしか成功できない。

 

 

 

それは、頭で考えて決めたことではなく、経験的に学んだ事です。

 

打ち明けてしまえば、
20代〜30代の頃の私は、仕事がうまくいっていたときも、
ずっと孤独感や苦悩を抱えていました。

 

音楽が、私の心をつかんで離さない。

 

当時の私にとって、音楽は、
自分を高揚させ、多くの希望や夢を与えてくれるものであるという以上に、
 
ある種の呪縛であり、
オブセッションであり、執着であり、
 
なにひとつ思い通りにならない、
心の中で暴走しては、うまく表に出すこともできずにこの胸を叩き続ける、
まぁ、ポルターガイストというか。。。
 
そういう、強烈なエネルギーでした。

 
1年365日、起きている時間のほぼすべてが、
音楽や創作と共にあり、
 
それが、たまらなく幸せなときももちろんあったけど、
多くの場合が、それは身を切り裂くような苦しみで、
 
こんなに苦しいのに、なぜやめられないんだろうと、
自分自身を呪ったことさえあります。

 

いつか、白馬の王子さまが現れて、
私に音楽なんか必要ないと思わせてくれる日を、
大まじめに祈ったこともあるくらいです。

 

 

ビジネスや出版の世界でさまざまな人と出会い、
それぞれの道で成功している人たちは、みな、多かれ少なかれ、
かつての私の音楽に対する思いと同じくらい、
仕事に対して、激しい思いや執着を持っていることを改めて知りました。

 

人間は好きなことしか一所懸命出来ない。
一所懸命やることでしか成功できない。

 

好きなことが見つかる人生はラッキーです。

その、好きなことに、人生をかけてもいいと思えるくらい、
本気になれるなら、そんな人生はハッピーです。

そして、どんな困難や苦しみも乗り越え、なお、
その好きなことを続けられて、
それで生計を立てられるなら、それは、おそらくギフトです。

 

 

歩むべき道は、いつも自分の心が知っている。

そう信じて進むのです。

 

15007984_s

 - Life, 音楽人キャリア・サバイバル

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

人を本当に育てるのは、反骨心や反抗心だ!

ミュージシャン仲間に、有名なおしどり夫婦と呼ばれたカップルがいました。 旦那さん …

大きな声を出せないときに、やるべきこと。

各地で次々と緊急事態宣言が解除され、 コロナ自粛も出口が見えてきました。 とはい …

あぁ、時は不思議に巡るのです。

「MISUMIちゃん、日本にもいい音楽いっぱいあるよ。 たまには、日本の音楽聴い …

「自分じゃなくなりたい」?

「自分が、○○だったらよかったな。。。」   こんな風に思ったことのあ …

リスペクトくださいっ!

私の通った女子校には、なんとも不思議な風習がありました。 学校のある駅を降りた瞬 …

居心地のいい場所では一生学べないことをアウェイは一瞬で教えてくれる

「一般の人向けの本を出版したいんなら、 一般向けセミナーくらいやらなくちゃダメで …

手癖でやらない。 慣れでやらない。

ここ数年、 自分というコンテンツを最後の一滴まで、 言語化、文字化、映像化して絞 …

わかってないのは、そいつの方じゃないのか?

「自分のこと、めっちゃ美人だと勘違いしてる、ぶっさいくな女っているよね? &nb …

言い切ったもんが勝つ。 そして、言い切れるやつは本気でカッコいい。

「自分を信じる力を才能という」 かのジョン・レノンの名言として、 とある雑誌で紹 …

「本を読もう!」

「本読んでる?」 なんだか国語が通じないなぁ、と感じる生徒に出会うと、 思わず言 …