胸の痛みを抱きしめて進め
やっとの思いでミュージシャンの端くれになって、
少しでも一流といわれる人たちに近づこうと、
死にものぐるいで修行を重ねている頃、
おとなたちに、頻繁にかけられたことばは、
「いいわねぇ。好きなことして食べて行かれて」でした。
今なら、「ありがたいことです」と素直に喜ぶお言葉ですが、
当時の私は違っていました。
10代そこそこで、いきなり音楽に心を鷲づかみにされて以来、
寝ても覚めても音楽のことばかりを考えて、
人よりもできない自分が悔しくて、
認められないことが悲しくて、
ただただ、がむしゃらに練習して。
多少のお仕事をもらえるようになったとはいえ、
毎日が、鉛を引きずりながら歩いているように苦しくてたまらないというのに。
なぜ自分は音楽をやめられないんだろう、
なぜもっと、軽やかに、しなやかに、生きられないんだろうと、
真剣に悩んでいるというのに。。。
その頃の心境を例えるなら、
裏切られても、外泊されても、
愛情すら示してもらえなくても、
好きで好きで、別れられない男との生活を、
「うらやましいわね〜」と言われたような感覚とでも言いましょうか。。。
(いや。そういう生活をよくわかっているわけじゃないですよ。
イメージね。イメージ。)
「みんな、わかってないな。」
そんな風に思えてならなかったものです。
あれから、長い長い年月が経ちました。
今、確信となって私の胸にあること。
心を鷲づかみにされるほど、夢中になれるもの。
苦しくても、逃れられないほどの熱情。
カラダの中心からわき上がるような、がむしゃらなエネルギー。
「できない気がしない」という、大いなる勘違い。
ただただ追いかけたいという衝動。
そのすべてが、
「それをやるのだ。」
「お前が、やるのだ。」
「お前にはできるのだ。」
そんな、どこかからやってくるメッセージ。
苦しいのは、もっとやれるはずと、何かが自分に教えているから。
悔しいのは、まだまだあきらめ時ではないと、どこかで知っているから。
認められたいのは、今の自分に満足してはいけないのだと、感じるから。
一体いくつになったら、
「もういいんじゃない?」って自分で自分に言えるのか。
こんな自分にあきれながら、
今日もがむしゃらにがんばっています。
Miles to go before I sleep….
若者たちよ。
自分を信じてみよう。
もしも、自分が信じられないなら、自分の夢を。
それも難しいなら、どうしようもない、胸の痛みを。
抱きしめて進もう。
痛みの先に、答えがあるのだ。
関連記事
-
-
どうせやるなら「ザ」のつくプロフェッショナルを目差せ!
先日、とある販売店でのこと。 まだまだ新米臭のある若者が、私たちの担当になりまし …
-
-
「型」か?没個性か?
日本の幼稚園の先生たちは、 「さぁ、みんなでブランコに乗りましょう。」 「次はお …
-
-
「バンマス・マニュアル」〜ライブ編〜
メンバーがあつまったら、さっさとライブを決める。 いや、なんなら、メンバーは集ま …
-
-
「あの頃は不便だったのよ」自慢
兄弟や友人に音楽通がいる人ならともかく、 昭和の時代に、 たったひとりで音楽を学 …
-
-
行き詰まりを感じたら、まず「行動」。
火曜日からワーケーションで伊豆に来ています。 環境が変わったせいか、 過去を振り …
-
-
「持っているもの」に焦点を当てる。
自分の嫌いなところ、ダメなところを並べはじめたら、 誰だって、たくさん出てきます …
-
-
成長痛を抱えて走れ。
今年前半は、 とにかくいろんなことが重なって、 頭の中がパツパツな状態が続いてい …
-
-
「歌うことをはじめる」はじめの一歩をどう踏み出すか。
「ずっと歌をやりたかった。」 そんな風に思っている人は、数え切れないほどいるよう …
-
-
数字じゃなく、「ひとりひとりの顔」に想いを馳せる!
ご存じのように、昨年12月から、 「365日毎日メルマガ宣言」をし、 毎朝10時 …
-
-
「歌がうまい」って、なんなのよっ!?
歌なんか、習うもんじゃない。 ウンザリするほど聞いたことばです。 正直、私もずっ …

