「これでいいのだ」ってとこまで追い込んだら「それでいいのだ」。
ひとつのことにのめり込んで、
のめり込みすぎて出口が見えなくて、
苦しくて仕方がない時、
自分の領域とはかけ離れた世界をのぞき見ることで、
どひゃぁあとばかり、気分がすっきりして、
勇気やエネルギーが湧いてくることが往々にしてあります。
こんな話をし出すと必ず思い出すのは、
ニューヨーク時代、
「こんなところで何やってんだろう」と思い詰め、
心身共に追い詰められていた時に、
ふと訪れた自然史博物館で見た、大きなアメジストドームです。
自然史博物館には、「鉱石」というコーナーがあります。
特に目的もなく、ぼーっと歩き回っていたら、
展示室の真ん中に大きな、濃いグレーの岩が置いてあります。
大きいばかりで、見るからに地味な、
ごく普通の岩がありがたそうに置いてあることを不思議に思い、
正面に回ってみると、
なんと中には、見たこともないくらい美しいアメジストがびっちり。
ライトアップされて、実に見事に輝いていました。
一見地味な岩の中に内包された美しき、宝物。
めちゃくちゃ涙があふれました。
理由は今も不明です。
なんだ、これでいいんだ、と思えたんですね。
アメジストは私の誕生石でもありますから、
なにか、パワーをもらったのかもしれません。
アートから受けとることもたくさんあります。
初めてポップアートの展覧会を見たときもそうでした。
ポップアートの展覧会って、行ったことありますか?
ウォーホルのマリリンモンローや
リキテンシュタインのアメコミのような作品は、
まだちゃんとしている方で、
(ちゃんと、ってことばを使っていいのかわからないけど)
トイレの便器とか、
ゴミがいっぱい詰まったゴミ箱をアクリルで固めたものとか、
こどもがペンキ遊びしたとしか思えない絵画とか…
いや、立派なアート評論家が解説してくれたら、
たぶん、唸るような、ものすごい意味深い作品たちなのだろうけど、
正直、なんじゃこれ?みたいなものがたっくさんあるんですよ。
でね。そんな、「なんじゃこれ?」に、
見る人を煙に巻くようなタイトルをつけて、
「アートだっ!」って言い切っちゃうのって、
どっひゃあ、めちゃくちゃロックじゃん。
かっちょいい〜〜。。。。
って、もう、とんでもなく感動したんです。
その、「なんじゃこれ?」が、
MOMAだのTATEだのスミソニアンだのに所狭しと並んでいるわけです。
展示する方もかっちょいいじゃ、ありませんか。
あぁ、アートって、人がどう思うかじゃない、
「これがアートだ」と自分が確信するかどうかが重要なんだと、
キャンベルスープのラベルを見ながら、涙目になったものです。
一昨日は、ピエール・カルダンのドキュメンタリー『ライフ・イズ・カラフル』を見ました。
98才のカルダンは、美にこだわり、未来にこだわり、ビジネスにこだわり…
仕事が楽しくて仕方がない、
ヴァカンスは退屈で、すぐに仕事に戻りたくなる、と言っていて、
キレッキレのカルダンのデザインを、映画を行きつ戻りつ何度も見ながら、
ですよね。わかりました。いや、ほんと、すみませんと、
まだまだな自分に活を入れられた気持ちになりました。
「これでいいのだ」と言い切れるまで自分を追い込めるかどうか。
最後はそこですね。
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