大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

うさぎか?カメか?観客か?

   

「よくそこまでやれるね」と言われることが、多々あります。

機材を買い集めて、見よう見まねで作詞作曲からアレンジまで手がけ、
初のオリジナルデモを制作したときも、

英詞のすべての単語に発音記号を振って、
重箱の隅をつつくように完コピを繰り返していたときも、

365日、休まずブログやメルマガを書いていたときも、

100本越えのビデオをひとりで撮影編集したときも、

そして、永遠に続くかと思われる執筆を続けていたときも、、、

「よくもそこまで・・・」と言うことばには、いつだって、
感心や尊敬と同時に、少なからず、「あきれ」や嘲笑があって。
いや、少なくとも、私にはそう感じられて、
なんだか、自分が酷く要領が悪いだっさい人間に思えて、落ち込むのでした。

人間には3種類しかいない。
うさぎさんチーム。
カメさんチーム。
そして、観客のみなさん。

観客の関心をくぎづけにする華麗なるうさぎさんチームと、
レースが終わって、観客が席を立っても、
暗がりをゴールに向かって、1歩、また1歩と地面を歩み続けるカメさんチーム。

レースの最中にお昼寝してくれるお馬鹿なうさぎさんは滅多にいません。
カメさんがいつまでも、いつまでも、1つのレースを終わらせないうちに、
うさぎさんたちは、次のレース、そのまた次のレースへと、どんどんステージを上げている。

くっそぉおお。。。

若かりし頃は、ほんっとうにこんな不器用でのろまな自分が嫌だったわけだけど、
いや、ちょっと待て。

カメさんは1歩がノロいけど、ずっとずっと歩み続ける。
息が長〜い。ついでに寿命も長い。
うさぎさんは風のように駆け抜けて、あっという間に疲れちゃう。
寿命だって短い。
相対的に持っている時間は、結局一緒なんである。

うさぎか、カメか。
これは優劣じゃないね。違いなんだね。

地面を舐めるように進むものにしか見えない景色はある。
カッコ悪くても、それでいいのだ。

今日も匍匐前進。

 

 

 

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