「嫌い」なものは「嫌い」
人の好みはいろいろです。
納豆が大好きな人もいれば、あの匂いには我慢ならないという人もいる。
甘いものがなくちゃ生きていけない人もいれば、
辛いものがないと、食事の満足度が低いという人もいる。
誰もが「好み」というものを物事の判断基準、選択基準にしているわけで、
それぞれ、自分の「好み」を大切に思っていますし、
それなりに、自信も持っているでしょう。
しかし、です。
自分が「いい!」と思ったものに、
その場にいる、自分以外の全員が「NG!」を出したり、
反対に、自分は「うわ〜。無理だぁ〜」と思うものを、
回りのみんなが褒めそやしたりと・・・
自分自身の「好み」に自信がなくなった経験はないでしょうか?
例えばプロ・ミュージシャンを目指して修行に励んでいた頃、
いわゆる「売れている音楽」を聞いても、
全くピンと来ないどころか、
虫唾が走るほど嫌悪感を覚えるようなことが多々あって、
自分は、おかしいんじゃないかと真剣に悩んだことがあります。
高校時代の友達の集まりにでかければ、
「ねぇねぇ、○○ちゃんの武道館のコンサート、チケット取れた〜?」
「あ〜、あたし、すごくがんばったけど無理だった〜」
「そうそう、最近の、あの曲、いいよね〜」
と盛り上がっていて、
私はその人の鼻にかかった声を思い出しただけでも、
寒気がするほど嫌だということを悟られないように、
ニコニコしているのに苦労してしまったり。。。
先輩ミュージシャンに、
「いやぁ、△△くんのライブ、今、手伝ってるんだけどさぁ、
曲がいいのよ〜。やってて、ぐっとくるのよ〜。」と言われ、
「私、音楽的に、あの手の曲とか、歌詞とか、どうしても興味持てなくて・・・」
と言ってしまったがために、
お前はわかってない、だからダメなんだと、
延々とお説教されるハメに陥ったり。。。
そんなことを繰り返しているうちに、
だんだんと、自分はずれているんじゃないか、
イケてないんじゃないかと不安になります。
「好み」、もっと言えば、「価値観」に自信がなくなるのです。
これほど恐いことはありません。
つまり自分の人生が根底から揺らぐのですから。
しかし。
私は、こんなときこそ、自分自身という人間の真価が問われるのだと考えています。
カメレオンのように、巧みに、まわりの価値観に自分を染めて、
しなやかに、したたかに、業界で生き残って行った人もいます。
「わかる人だけわかればいいし、オレは何にもわかんなくて結構だし」と、
達観して、マイペースに我が道をゆく、という人もいます。
冷静沈着に、周囲の価値観と自分自身の価値観との違いを見極め、
計算し、調整し、見事に新しい文化へと昇華した人もいます。
理解しあえない周囲に、さっさと見切りをつけ、
新天地を求めて、勇気を持って、旅立った人もいます。
そして、
「どうせ、ギョーカイのやつらなんか、日本人なんか・・・」と、
ふてくされて、飲んだくれて、くだを巻いていた人もいます。
一度きりの人生なら、
共感しあえる人は、ひとりでも多い方がいい。
自分が本当に素晴らしいと思うものを、
同じように、素晴らしいと感じる人たちと、
一緒にいられたら、人はどれだけ幸せでしょう。
媚びず、迎合せず、あきらめず、ふてくされず、押しつけず。
共感し合える仲間を求めて、
今日も必死に自分自身を表現できる道を探すのです。
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