「知ってる」だけで満足しないっ!
好奇心は学習のはじまりです。
「知りたい」という欲求こそが、
人を、勉強や練習や研究に向かわせる。
だから「知りたい」はチャンスなのです!
人に尋ねる、本を読む、ググる。
今の時代、知識を手に入れる方法は豊富にあります。
しかし、大事なのはその先です。
知識を得るだけで満足してしまっては、
学んだことになりません。
知識は単なる「ことば」でしかないんです。
「意味を知っている」ことと、
「わかっている」ことは、もう全然違う。
心の底からわかる。
カラダでわかる。
自分との関係性を見出す。
私は、そこから生まれた発見や、
新しい発想こそが、自分の一生の宝となる、
本当の「学び」であると考えています。
例えば「アメリカと日本は土壌も気候も違う」。
これは誰でも知っている「知識」です。
しかし、飛行機でアメリカ大陸の上空を飛ぶと、
明らかに、大地の色が違う。
山々の、草木の色が違う。
あぁ、こういうことか、と腑に落ちる。
土地に降り立てば、土の匂いが違う。
草花を植えてみたら、育ち方が全然違う。
同じ野菜も、味が違う。
空気の肌触りが違う。
土地によっては朝晩の気候の差や、湿度の違いも激しい。
あぁ、だからアメリカ人は革ジャンを着るんだ、
みたいなことが、腑に落ちる・・・。
知識と体験。
そこから生まれる発見と、
見出される自分との関係性。
それこそが「学び」なのです。
ここで言う「体験」は、
物理的な「体験」とは限りません。
例えば、
「ビブラートとは音を揺らすこと」と知る。
「●●さんや××さんはビブラートがうまい」と知る。
これだけでは、単なるうんちくです。
素晴らしい歌手の名演を聞く。
ロングトーンで、どーんと心が動く。
ビブラートの音のゆらぎに、涙が出そうになる。
「あぁ、人の心はビブラートに反応するんだ。」と気付く。
これまで好きだった歌手たちの曲を、
もう一度片っ端から聞いてみると、
自分が好きな歌手は、みなビブラートが素晴らしいんだ!
と発見する。
自分もこんなビブラートをかけようと試みる。
ところが、音を揺らそうとすると、
かえってビブラートはかからない。
ビブラートの奥の深さに出会い、
あらためて、自分が好きな歌手たちの素晴らしさに感動する。
学習って、こんな風に、
うねうねとトルネードのように、
あっちこっちに方向を変えながら、
だんだんとカラダにしみこんでいくもの。
実は、真面目にテキストを学ぶ人ほど、
本当の「学習」が苦手です。
「知識」として頭にはいると、わかったつもりになってしまう。
素直であることは学習の最低条件ですが、
それだけでは不十分なのです。
他人のことばに、
他人の発見した知識に飛びつかない。
そこで満足しない。
どんなに小さなことでも、自ら発見し、
関わりをつくっていこうとする姿勢こそが、
本当の学習です。
時間がかかることを恐れないことです。
時間がかかることを回避しようと、
近道ばかりをたどるのは、無意味なのです。
迷い、悩み、壁にぶつかりながらたどる、
その道のりこそが真の「学び」の過程です。
あぁ、うまくいかないな、と思うときこそが、
学びのチャンスなんですね。
あと一歩。
もう一息。
がんばりましょう!
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