ティーンエイジャーという名の憂鬱
プライベートレッスンでは、事務所さんやレコード会社さんから、活躍中のアーティストや育成中のアーティストをお預かりすることが、多々あります。
自らうちの存在を発掘して、自腹でやってくる中堅どころのアーティストたちと違って、基本、「送り込まれてくる」彼ら。
時には小学生や中学校低学年という子どももいますが、そのほとんどがティーンエイジャー〜20代半ばくらいの若者です。
これがね〜。めんどうくさい。
自意識が高まってくる年頃だからなのか、はたまた、ホルモンの関係か。
たとえば、具体的にどうめんどうくさいかというと….
・レッスン中にいきなり号泣する。
・やる気を見せようと、やたら早くレッスンにやって来る。
・説明している最中も、声を出したがる。
・いきなり悩み相談がはじまる。
・お菓子が主食。野菜やフルーツはゴミが出るから買わないという生活で、頻繁に体調を崩す。
・質問すると、気の利いたことを言おうと構える。気取る。カッコつける。
・他の子と自分を引き比べて、落ち込んだり、優越感を持ったりする。
・ダイエットのことで頭がいっぱいで、ずっと体重のことを口にする。
・駅から徒歩6〜7分の、弊社レッスン室まで歩けなくてと、タクシーに乗ってくる。
・ちょっとできないと、自分はダメなんです!と、落ち込む。泣き出す。
・ず〜っと鏡の中の自分を見つめている。
・レッスン中にあからさまに、別のことを考えている。
ね?めんどくさいでしょ?
スタッフさんに報告をされたら困るからか、はたまた、私を怒らせたらとんでもなく怖いぞとスタッフさんに吹き込まれているからか、あからさまに反抗してくる子は、もちろんいません。
けどね、こうした、「めんどくささ」を放置したままでは、レッスンは身につかないもの。
そもそも、声なんて、エネルギーだから、あっちこっちよそ見してたらいい声なんか出ないんですね。
お預かりするからには、少しでもいい状態にしたい。成長させたい。
そうなると、もう、がぶっと四つに組むしかありません。
徹底的にヒアリングをする。
可能な限り、自信を育む。
同情し過ぎず、突き放さずという適正距離を保ちつつ、どんどん、相手の心に切り込んでいく…。
十分なレッスン期間をいただける時は、これで、少しずつ信頼関係が築けますし、それとともに歌の実力もぐんぐん身についていくもんなんですが、まぁ、今はそんな余裕のある時代ではないので、結局心に触れられないままだったなぁという間に、レッスン期間が終了してしまうこともしばしば。
折に触れ、あの子どうしてるかなぁと、遠い目になったりします。
でもね。
そんなアーティストたちがおとなになって、いきなり連絡をくれたり、思わぬところで再会して、「あのときのレッスンのおかげで、自分はこんな風に今も歌ってます」というようなことを言ってもらったりすると、もう本当に、涙がちょちょぎれる程嬉しいものです。
先日も、そんなことがあって、あぁ、幸せな仕事をさせてもらってるなぁと冥利につきたところです。
今日は、もう長年お預かりしているティーンエイジャーのレッスンがありました。
充分めんどうくさいお年頃なんだけど、すっかり信頼関係ができているからか、よほど私が怖いのか、もう、めちゃくちゃ素直。
で、素直にされればされるほど、思いっきりしごいてしまうドSな私。
なんし、若者ってのは、鮮やかな未来エネルギーを発していて。レッスンのたびに、勇気と元気をたくさんもらってます。
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