すべては「可能」であり、「正しい」は自分が決めるのだ。
「クラシック」という音楽のイメージに、
ヨーロッパ的華やかさと優雅さを重ね、
妄想のおもむくままに、ピアノを志した中学時代。
しかし、クラシックという音楽は、
そう簡単にドアを開いてはくれませんでした。
指の形はこう。こうやって弾いて。
これとこれとこれができないと、次に進めないからね。
この曲を弾くには、こっちの曲が終わらないとダメなのよ。
音大行きたいなら7才くらいまでにピアノはじめなくちゃ無理よ。
あなたは指が短いから、この曲は弾けないわね。
この年からだと、聴音できるようになるのは難しいわね。
・・・etc.etc.
時代もあるでしょうが、
とにもかくにも、
「これが正しい」と「あなたには無理」の壁が、
高く高く立ちふさがっていました。
ロックにどんどん傾倒していったのは、
そんな壁に嫌気が差し始めた頃。
だって、ロックには、
「これが正しい」も「お前には無理」もなかったからです。
好きな曲から弾けばいい。
自分が弾きたいように弾けばいいし、
歌いたいように歌えばいい。
弾きづらいなら弾きやすいように曲を変えればいい。
やりたい曲がないんなら、自分でつくればいい。
楽器が自分の手に合わないなら、
手に合うように楽器を選んだり、変えたりすればいい。
楽器は何色だっていいし、
何なら、どんな形をしていたっていい。
チューニングだって、どうやったっていい。
叫んだって、囁いたって、うめいたって、
キレイな声だって、汚い声だって、なんだっていい。
どんな髪型だって、化粧だって、
なにを着たって、
なんならなんにも着なくたっていい。
すべては「可能」であり、
「正しい」は自分が決めるのだ。
ロックのルールは、私のような反逆児にぴったりでした。
自分が弱っていると、ふと、
このルールから逃げ出したくなるときもあります。
誰かが決めた「正しい」を追いかけて、
これを着て、
こう話して、
こう振る舞って・・・と、
マニュアル通りにしていれば、
安心領域に身をおけるのにと、
葛藤に苦しむこともあります。
「正しい」を振りかざす人に心傷つけられて、
道に迷うこともあります。
しかしです。
ロックに生きる私たちが、
「自由」の恐怖と戦っているように、
「正しい」を振りかざす人たちだって、
自分たちを守ってくれる「正しい」という檻の中で、
がんじがらめになって、身悶えしながら生きている。
どちらがしっくりくるか。
どちらを心地よいと感じられるか。
最後は、自分が選ぶこと。決めること。
すべては「可能」であり、
「正しい」は自分が決めるのだ。
私は、当分、このロックのルールで行こうと思います。
最初の一歩を踏み出せないでいるあなたへ、5日間のメッセージ。
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