大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「課題曲」って、どうよ?

   

大学4年になったばかりのこと。
清水の舞台から飛び降りる気持ちで通い始めた歌の学校で、いきなり渡された課題曲が、あまりにアウェイな上に、どこがどういいのかさっぱりわからなくって、悶絶しました。

いやー、もう退屈な上に、ねっとりした曲で、しかもシャキッとしないヴォーカルで。。。
そのシンガーの歌を「いいわよね〜。素敵よね〜。」と褒めちぎる先生に、不信感さえ覚えたものです。
(あまりに有名な曲なんで、さすがに曲名は書けません。)

しかも、その曲にOKをもらえないと、先に進ませてもらえないというシステム。
毎週、毎週、先生にダメ出しされるたびに、あぁ、またこの気持ちの悪い曲を1週間練習しなくちゃいけないのかと、ウンザリしたものでした。
実際、学校をやめることまで考えたくらいです。

さて。

音楽学校や大学で、アンサンブルのクラスを担当した時のこと。
プレイヤーやヴォーカルにそれぞれ交代で演奏してもらうため、課題曲を決めていました。

楽器科の先生方と、私は世代も音楽の嗜好も合います。
課題曲もあっという間に決まります。

ところがね、楽器科の生徒はともかく、ヴォーカル科の生徒たちの中には、どう見ても楽しそうじゃない子が毎回一定数紛れ込んでいます。
全然授業に出てこない子もいる。

こんな古くさい曲知らない。ロックは好きじゃない。洋楽とか歌いたいわけじゃない…etc.etc.

いやいやいや。

君ら、バンド練とか、カラオケに来てるわけじゃないでしょ?
音楽の勉強しに学校に来てるんだよね?

課題曲にはそれぞれに、音楽の本質的なことを学ぶための要素があって、1年かけて歌のスキルだけじゃなく、音楽的な力をまんべんなく付けてもらうために、こちらとしても周到に考えて選んでいるわけよ。
別に古いとか、新しいとか、好きとか、嫌いとか、ロックだからとか、そういう基準で選んでるわけじゃないんだからさぁ。

そんなことを、やる気を見せない生徒たちにコンコンと説教したものです。

立場が変われば、考えは変わるものです。
あー、先生、ごめんなさい。
だって、私、あの曲嫌いだったんだもん。。。。。

 

そんな若気の至りや、生徒たちとのやりとりもあって、今現在、月に1回配信しているサブスク形式のオンライン・ヴォーカルレッスン”Monthly Program”でも、課題曲を決めるのは毎回悩みの種です。

毎回新鮮な学びがあること。
キャッチーで覚えやすく、しかも普遍的な魅力があること。
音楽的なバラエティに富んでいること。

もちろん、それだけが基準になると、コンテンツのパワーが弱まります。

ネットで手に入る情報を越える圧倒的なパワーを届けるためには、
自分のエネルギーや情熱を注入できる曲を選ぶことも、
お手本としての私の歌がレベルに達していることも重要な要素になります。

ところが、実は、専門分野である洋楽をこれまで一度も取り上げてこなかったんです。

洋楽や英語に苦手意識のある人もいるだろうという判断もあったのですが、ただでさえ、「辞書食べてるみたい」と言われるオタクな私のレッスン。

専門中の専門の洋楽なんか取り上げた日にゃあ、語るべき事がありすぎて私の熱いしゃべりに免疫のない人はどん引きしちゃうんじゃないのか・・・っていうのが、正直、ちょっと怖かったんですね。

しかし、やっぱりこの辺で一発ぶっ込みたいわよねと、3月号は勇気を出して、洋楽を取り上げることにしました。

先ほど初の洋楽を取り上げる3月号の撮影を終えたのですが、、、
いやーーー。怖れていた以上に楽しくて、我ながら饒舌で。
これまでは、何度も録り直したり、途中つまづいて後戻りしたりしていた撮影が、あまりに順調で、自分で怖くなりました。

こんな曲嫌い。。。って思わないでくれるといいな。
少しでも新鮮な学びがあるといいな。。

遠い昔のくっそなまいきだった自分が、最大の敵です。

●初月500円からスタート。 サブスク形式のオンライン・ヴォーカル・レッスン“声出していこうっ!Monthly Video Program”。3月号はBruno Marsをお届けします。

 - My History, ヴォイストレーナーという仕事, 音楽

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