大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

リズム感が悪いと言われたら「発声を見直す」!

   

「リズムが悪い」と言われたら、
誰もが真っ先に試みるのは・・・

1.ドンカマやドラムを聞く

2.ベースを聞く

3.リズムのいい人を観察する

4.オリジナルやお手本などがある場合には、それらをよく聞く

5.カラダを動かしたり、クラップをしたりして歌う

・・・などなど。

 

それでもうまく行かない人は、

誰かに助けを求めるか、

「自分ってリズム感ないんだ」と落ち込むか、

途方に暮れるか・・・。

 

しかし、です。

 

もしも、あなたがヴォーカリストなら、
リズム感が悪いと落ち込む前に、
一度、発声を見直してみるべきです。

 

以前もお話ししたように、
ポピュラー音楽では、
「点」をどこに持ってくるかが非常に大切です。

一般的に「リズム」や「ビート」が重視される場面で、
リズム感が悪いとされるのは、
この「点」があっていないから。

 

そして、楽器の「点」と、
どんなに一所懸命あわせて歌っているつもりでも、
呼吸がタイミングよく声にならなければ、
「ビート」として声が出る瞬間は常に遅れてしまいます。
 
たとえば、シンセをストリングスなどの音色で演奏する場合、
どんなにかっちりリズム通りに鍵盤を叩いても、
音の性質上、遅れが発生して、
なんとなくリズムがもたってしまう、というのと似ています。
 

呼吸のタイミングと発声のタイミングを合わせる。
声を出したいと思った「瞬間」という点を、とらえて、
的確な音程の、よい音色の声が出せるようになるには、
相応な発声訓練が必要なのです。
 
声帯をきちんと締められない人は、
特に、この「リズムの点」が甘くなりがちです。
 

「ノドを締めると、声帯に悪い」などという言葉にひるんではいけません。
 
声帯をしっかり締められないまま声を出す方が、
声帯に余計な空気を通過させることになり、よほど声帯に悪いのです。
 
しかも、そのままでは、なかなか声量が上がらないため、
無駄に力んでしまい、
さらに、声帯に負担をかけることになりがちです。
 
声帯をしっかり締めるチカラをつける。
声の立ち上がりをよくする。

リズム感のトレーニングとともに、
ヴォーカリストが必ずしなければならないトレーニングのひとつです。

 

3740974 - beautiful teen girl in red vinyl dress and dog collar sitting at drum set.

週末発行予定のメルマガno.129では、リズムをよくするために、発声のタイミングを合わせるのと同じくらい大切な、『ことばの発音』について、お届けします。
バックナンバーも読めますので、興味のある方はぜひ読んでくださいね。
登録はこちらから。

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

高い声は、がんばらずに出す。~SInger’s Tips #17~

「高い声は、がんばらないと出ない」と、 思っている人がいます。 なぜそうなっちゃ …

「同じに出す」が一番難しい。

同じ音を連続して弾くとき、 ピアノという楽器の完成度の高さを、 しみじみと感じて …

「ピッチが悪い!」を直すロジカルシンキング

「ピッチが悪い!」 年間通して、いや、1週間に、 このことばを、何回口にするでし …

英語の歌詞が聞き取れない!?

かつて、日本で発売される洋楽のレコードには、 ジャケットと同じ大きさの、大判の歌 …

セルフイメージは声に出る

歌のレッスンをしていると, 歌う前から、「歌えない」「失敗する」と決めている人に …

「送り手」になりたかったら、「受け手」と同じことをしていたのではダメです。

「歌が好きだから、毎日歌っているんですよ」という人は、たくさんいます。 毎週のよ …

「じゃ、”ハモる”って、どうするの?」コーラス上達法②

さて、昨日の投稿『きみ、ホントに、よくプロになれたよねぇ。』②でも、 紹介したと …

鏡を見ない!?

何年か前、女優の黒木瞳さんが、 その美しさの秘訣を聞かれて、 家では鏡を見ない、 …

そんなこと、 何年やってても、絶対にうまくなりません。

プレイヤー目指して、 日夜がんばっていたにもかかわらず、 てんで上達しなかった自 …

ヴォーカリストこそ、もっと、ちゃんと「聴く」!

バンドのパートの中で、一番コピーしやすくて、 誰でも、そこそこやれるパートってな …