大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

そのフレーズ、きっちり弾かなきゃいかんやろ?

   

来週ライブの、JEFFOBAND(ジェフ・オー・バンド)のリハでした。

長年一流の現場で活躍してきたベテランのプロフェッショナルばかりなので、今さら私なんかが言うのもおこがましいんですが、いやもうね、わかってらっしゃる人は、ホントに大事なとこ、外さない。

ミストーン出さないとか、リズムがずれないとか、そういう表面的な意味ではありません。

どんな曲にも、「このフレーズをこう弾かないと、曲の意味が変わっちゃう」というアレンジの肝、コアになるようなリフやパターンがあると考えています。
こんなことを言うと、「あぁ、また完コピの話か」みたいに流す人がいるかもしれないのですが、まぁ、ちょっと私の話を聞いてください。

例えば、歌ものの曲でも、イントロのドラムのパターンのハイハットのビートが1拍ずれただけ、ベースの音符が半拍短くなっただけで、グルーヴが変わる。
実際にはよく聞かないとわからないくらいの微差でも、曲全体のノリが変わる。
当然、そこに乗っかるギターや歌のグルーヴも変わる。

ロックって、出音とグルーヴがすべてですからね。
このグルーヴが変わっちゃうと、アレンジの意味、なんなら曲の意味が変わっちゃうわけです。

そういうことを、一線で活躍するミュージシャンは、ちゃんとわかってらっしゃる。
だからね、弾かなきゃいかんフレーズを割愛しない。
へぼい外し方なんか、もちろんしない。
外すときは、意図的に外す。
意図があるから、ちゃんと成立する。
というか、その人らしくなる。カッコよくなる。

オリジナルのアレンジをやみくもに変えて、いわゆる「オリジナリティ」を出そうとする人が多いんですが、オリジナリティを発揮するには、計算と意図が必要です。
テキトーに曲をカバーして、テキトーにいじって、「オリジナリティ」とか言うのは、ホント、恥ずかしいからやめましょうね。

やっぱさぁ。
ちゃんと名演を聞かなくちゃダメなんですよ。
それも、なんとなく聞き流して聞いたような気持ちになってるんじゃなくって、耳の穴かっぽじってちゃんと聞く。
とりあえず、きっちりフレーズを真似てみる。

え?やっぱり完コピの話してるって?
だからさぁ、原点は、やっぱそこにあるってことなんです。


■無料メルマガ『声出していこうっ!』。
ご登録いただいた方全員に、『朝から気持ちい声を出すためのモーニングルーティン10』をプレゼント。バックナンバーも読めますのでぜひ。ご購読はこちらから。

 

 - The プロフェッショナル, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, バンド!

  関連記事

「違和感」をスルーしない

「違和感」は、ふわっと舞い降りる感覚です。   レコーディング中プレイ …

どうせやるなら「ザ」のつくプロフェッショナルを目差せ!

先日、とある販売店でのこと。 まだまだ新米臭のある若者が、私たちの担当になりまし …

「とにかくやる」

「やりたくないときほど練習をすると、やってよかったと思えるわよ」   …

「失敗の記憶」をリセットする

心もカラダもリラックスした状態で物事に取り組み、 自らのポテンシャルを最大限に発 …

キーは、歌えりゃいいってもんじゃないんですよ。

カバー曲を歌うとき、 無条件にオリジナルのキーで歌っている人は多いはず。 私自身 …

「できない」と言える「自信」を育てる。

レコーディングのお仕事に 呼んでもらうようになったばかりの駆け出しの頃。 スタジ …

鏡を見ない!?

何年か前、女優の黒木瞳さんが、 その美しさの秘訣を聞かれて、 家では鏡を見ない、 …

まず、自分の出音(でおと)をちゃんとせい。

トレーナーズ・メソッド、リズム編のテキスト制作中にて、 古今東西のドラマーの名演 …

歌に必要なことは、歌の中から学びとる!

人にものを教えるときは、まず真っ先に、 その人が、ゼロ地点にいて、もっと上を目指 …

大事なのは「生きて行きやすいように自分を変える」ことだろうか?

高校1年の初夏のこと。 女子高の同級生たちと、 生まれて初めて「バンドを組もう! …