「今日はノドの調子が悪くて・・・」
2015/05/08
誰にだってのどの調子の悪いときというのはあります。
どんなに気をつけていても、あぁ、声の出がイマイチだなぁ、とか、
なんかガラガラしちゃってるなぁ、なんて時は、
どんなプロフェッショナルにもあるものです。
そんなとき、ステージやスタジオで、歌う前からいきなり、
「すみません。今日風邪でノドの調子が悪くって・・」
と言い訳をする人もいますが、
そんなことばを聞くたびに、「あぁ、プロじゃないな」と思ってしまいます。
理由は・・・
〇たとえいくらであっても、お金をいただいてステージに立つ以上、
言い訳はしないのが鉄則。
言い訳しなくちゃならないような状況なら、キャンセルするべき。
〇そもそも自分の状態が悪いことを
歌う前からお客さんやクライアントとシェアする意味はなんでしょう?
それって、
「多少のことがあっても許してください」
「風邪なのに、こんなにがんばって、すごいでしょ?」
と言う甘えではないでしょうか?
〇どんな状態であっても、
それをお客さんやクライアントに悟られないようベストを尽くす。
またどんな状態であっても、それを悟られないで歌えるだけのテクニックや、
地力を身につけておく。
〇最初から負の情報をインプットされたら、
その段階でお客さんやクライアントは不安や同情を強いられることになります。
そんな状態では気持ちよく、自由に音楽を聴くことも、的確にジャッジすることもできません。それではフェアじゃありません。
〇そういうことばを口にするのは、お客さんに対する申し訳ない気持ちというより、
「自分はこんなものじゃない」
ということをわかって欲しいという気持ちです。
歌い手の価値は聞き手が決めます。
調子の悪い状態を作ってしまうのも、実力のうちなのです。
人気声優、神谷明さんはインタビューで、こう答えています。
「風邪をひいた時はどうするんですか?」
「風邪はひかないことにしています」
プロフェッショナルのことばです。
関連記事
-
-
人を感動させる力の秘密は”HOW”じゃなく、”WHY”にある。
ピカソやゴッホをお手本に、 「この青は何番をつかって」 「ここの線はくっきり描い …
-
-
「ハモりゃいいんでしょ?」は、実は結構奥が深い
「コーラス」と聞くと、どのようなイメージでしょう? いわゆる中学高 …
-
-
「そこまでやる?」がオーラになる。
「そこまでやらなくても・・・」 思わず、そんな風に言いたくなるほど、こだわりの強 …
-
-
「自分の名前」と、今一度向き合う。
作詞者は曲のタイトルを。 編集者は、本のタイトルを。 起業家は会社名を。 そして …
-
-
「ライブ前にやらなくちゃいけないこと」なんて、なんにもない!?
「ライブ前に、絶対しなくちゃいけないことってありますか?」 そんな …
-
-
ハスキーボイスには2通りある
ハスキーボイスといわれるシンガーは、その発声の特徴によって、 実は2通りに分かれ …
-
-
「想像力の限界」を認める
「ある程度、想像がつくこと」と「想像を越えること」の間には、 「経験」という決定 …
-
-
プロ、セミプロ、セミアマ?ミュージシャンの働き方
高校時代、一緒にバンドをやっていた仲間のひとりに、 フリーターをしながら、あちこ …
-
-
「できる人」が集まる環境に身を置く
音楽のセンスや、ことばのセンスを磨いたり、 きらりと光る知性を身につけたり、 楽 …
-
-
作品づくりは美意識のせめぎ合い
優秀なミュージシャンというのは、 自分がたった今プレイしたテイクが、 どんな出来 …