「お前、練習してんのか?」
先日、とある忘年会で、大先輩のミュージシャンに、
「MISUMI、ビジネスはいいけど、お前、練習してんのか?」
と、厳しめに質問を受けました。
私の歌を高く評価してくださっている方で、
心配していただいて、本当にありがたく思います。
ふと、胸に手をあてて考えてみました。
ヴォーカリストにとって練習とは何か?
正直、毎日のようにお仕事でスタジオやライブ、
サポートの仕事などなどで動き回っていた時代って、
練習らしい練習はしていませんでした。
だって、毎日4〜5時間、長いときなら7〜8時間、
マイクの前に立っている。
家に帰り着けばへとへとです。
スタジオのお仕事は、多くの場合、
その場で打ち合わせ&資料を渡されて、即本番となるわけで、
自分が歌詞を書くのでもない限り、準備の余地はありません。
サポートのお仕事なら、
何日間にもわたるリハーサルがあります。
たいがいは相方と一緒にあわせながらやるので、
こちらも、練習は、なかなかひとりではできません。
セッションライブなどで、
初めてのメンバーとやるときには、
歌ったことのない曲や、
覚えなくてはいけない曲がそれなりにあるものなので、
あせって「練習」をすることもありましたが、
2000年以降、セッション出演は極力お断りしてきましたし。。。
バンドのライブともなると、何年も歌い続けている曲や、
レコーディングでさんざん歌った曲を歌うので、
大事なのはアンサンブルや、
自分がどこまで集中できるか、歌詞や構成をしっかり覚えられるか。
なので、ガッツリ声を出して練習するというよりは、
じっくり録音した音源などと向かい合ってさらうことの方がメイン。
新たな歌い回しのアイディアや、
出したい音色、
フレージングをやってみたりというのはありますし、
ギター弾いたり、音源流したりしながら、
あれこれ試すというのはありますが、
まぁ、そういったのは、私の中では「練習」にカウントされません。
時に、歌ったことのないカバー曲をやるときもありますが、
その場合、習性としてまずは完コピから入ります。
完コピは、もう単なる変態的な趣味すぎて、
あれを練習と呼ぶのは申し訳ない。
そうやって考えるに・・・
私って、今まで「練習」ってホントにやってきたのかな?
と思ってしまうくらい。。。
辞書によれば、「練習」とは、
「技能芸事などが上達するように同じことを繰り返しならうこと。」
だそうですから、
「自分を極めること」や、
「ただ好きだから」という理由でやることは、
やっぱり「練習」にはカウントされません。
単なるオタクの趣味。。。
そういえば、
ピアノに座ってヴォイトレレッスンを毎日のようにやるようになって、
生徒にお手本を見せ続けているせいか、
年々音域が広がっています。
ロックヴォーカリスト的には不要なスーパーファルセットとか、
男性の音域の低音とか・・・
いい年をして気持ちの悪い進化です。妖怪チックです。
やっぱり「練習」は毎日やれば効果は出るということでしょうか。
そんなんで、学生たちが、
な〜んにも歌えないまま授業に来たりするのが、
本気で信じられないんです。
好きなら、言われなくてもやる。
本気なら、できるまでやる。
好きじゃないけど、練習しなくちゃ、というのも、まぁ学生らしい。
で、練習するなら、やっぱり、できるまでやる。
好きでもない。
練習もしたくない。
なんなら、できなくてもいいや。
そういう空気感で授業にくると、
講師の私たちだけでなく、
クラスメイトやバンドのメンバーの士気を著しく下げ、
みんなの時間をとことん無駄にすることになる。
自分だって、歌えないのに授業にきて、
文句言われて、雰囲気悪くして、
居心地の悪い思いするくらいなら、
潔く授業サボって、デートでもしている方がいいよね。
私なら、きっとそうする。
時間の無駄だもん。
今期授業も残すところ3回のみ。
本気の子たちに、本気の授業を。
やりきりたいと思います。
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