大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「とにかくやる」

   

「やりたくないときほど練習をすると、やってよかったと思えるわよ」

 

学生時代通ったジャズダンスのインストラクターさんのことばです。

 

確かに、カラダが重くて一歩も歩きたくないときほど、足を引きずってでも、ジムで汗を流したりジョギングしたりすると半端ない爽快感を体験できるもの。

 

もう今日は書くのなんか無理!と思っても、
パソコンの前に座ってキーボードを叩きはじめるとことばがどっとあふれて、時に我ながらびっくりするくらいイケてる文章が書けることもあります。

 

そういえば、レッスン前に仕方なく練習をはじめたら楽しくなって、肝心のピアノのレッスンに遅刻した、なんてこともあったっけ。

 

 

歌も同じです。

なんだか疲れているし、気持ちが乗らないし、
でも練習しなくちゃ。。。と無理くり歌いはじめるのだけど、なんだか気持ちよくなって、気がついたら何時間も歌っている、なんてこともよくあります。

 

しかし、これらすべては、「ある程度以上、コツを体得してから」のお話。

 

ダンスのステップを踏むのも最初は半端ない集中力がいるし、
カラダと心を支える筋力がいります。

 

普段文章を書かないような人が、いきなりパソコンの前に座ってもそう簡単にことばは出てこないでしょうし、文章はまとまらない。
やりたくないようなときにできることではありません。

 

ピアノを弾くのも、譜面を読むのも、初心者にはものすごい集中力がいるもの。譜面を見て自動的に指が動くくらいにならないと、なかなか、「やりたくない」が「気持ちいい」にまではいかないものです。

 

歌だって、何時間も歌えるのは、ある程度発声や歌い方が無意識レベルに身についているから。ノドや声にストレスを感じているレベルでは、そうそう何時間も歌えません。

 

だから、初心者に大切なのは・・・

「やりたい」という気持ちを絶やさないこと。

「やらなくちゃ」という状況をつくり出すこと。

「やると決めたことだから、とりあえずやる」システムをつくること。

 

とにかくやる。
やり続けることで、やがて努力なしにやれるようになる。
やりたくなくても、自然にできるようになる。

 

どんなことでも、一度、上昇気流に乗ってしまえば、どんどん上達します。

それまでは、ただひたすら、匍匐前進なのです。

6737153 - young woman in a ruined building. secretly crawling on a floor.

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

ペダル、踏んじゃだめよ。

小学校4年の時に、友だちの弾くピアノの調べに胸を射貫かれ、親に頼み倒すこと3年あ …

「ボイストレーナーなんかいらない人」になるための3つのポイント

昨日、『MTL ヴォイス&ヴォーカル オープンレッスン12』初日、 Unit1と …

基本中の基本!「コーラス3原則」

コーラスということばに抱いている印象は、 その人の音楽経験によって違うでしょう。 …

「好きになれない課題曲」から徹底的に学ぶ方法

自分が心から感動し、お手本にし、研究した、いい音楽を、後進にシェアしたい。 &n …

セルフイメージは声に出る

歌のレッスンをしていると, 歌う前から、「歌えない」「失敗する」と決めている人に …

関係性がつくれないから上達しない。

ここ数年、芸能事務所や音楽事務所の 新人育成ワークショップを担当させていただく機 …

安定させる!~Singer’s Tips#30~

高いところに行くと、やたら声が大きくなる。 低いところに来ると、こもってしまう。 …

「キミ、グルーヴないね」に悩んだら

少し前に『で、グルーヴって、なんなん?』 という記事を書きました。   …

大きな変化は一瞬で起こる

変化はいきなりやってくる。 長年人間をやってきた実感です。   毎日が …

本気で目立ちたかったら「本質を磨く」。これしかない。

Clubhouseだの、Zoomだの、インスタだの・・・ やっと新たな名前とコン …