大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

ルーティンワークで「微差」をつかまえる。

   

鰻屋を営んでいた母方の祖父は、
生前、お昼ごはんに、
毎日お店の鰻重を食べていたそうです。

毎日同じものを食べるから、
その日の鰻の味がわかる。
ごはんの出来や、たれの具合がわかる。

そうやって、お店の味を守っていたのでしょう。

毎日同じものを食べる。
毎日同じエクササイズをする。
毎日同じ時間に寝起きする。

毎日やるから、
やがてカラダが無意識に動くようになります。

無意識に処理できる情報量が多くなるほど、
人は「微差」に敏感になれるのです。

トレーニングや練習も同じ。

毎日、同じウォーミングアップをする。
毎日、本格的な練習の前に、同じ曲を弾く。歌う。

特別なことである必要はありません。
自分にとってバロメーターとなることなら、
どんなにシンプルなことでもよいのです。

無意識にカラダが動くからこそ、
その日の自分の調子がわかる。

調子いい、悪いを敏感に感じられたら、
その理由もおのずと見えてきます。

調子がいいのは、
よく眠ったから、
前の日にたくさん練習したから、
なにもしないで、よく休んだから・・・

調子が悪いのは、
遅くまで飲み会があったから、
昨日、食べ過ぎたから、
練習し過ぎたから・・・

などという推測ができるようになる。

そして、その調子の微差を解消するために、
カラダにどんな微調整を加えたらいいかが、
毎日のルーティンの中で発見できるようになります。

イチロー選手が旅先にも同じ枕を持参し、
朝は必ず奥さん手作りのカレーライスを食べていた、
という話は有名ですが、

 

いつも安定感のあるパフォーマンスができる人には、
必ずルーティンワークがあるもの。

あなたのルーティンはなんですか?

 

◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事から、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

  関連記事

「ストリートミュージシャン」というお仕事

欧米では、 街角や地下鉄の通路などで、 音楽を演奏するミュージシャンに、 しばし …

「私のカラダはギターには向いていないんだ・・・」

高校時代、ギターリストを目差していた頃のお話。 クラプトンに憧れて、黒いストラト …

歌の「点」、ビートを意識する。

ドラムにビートがあるように、歌にもビートがあります。 ビートの意味は、いろいろな …

聞いてもらう。

「とりあえずデモをつくれ!」というのが、 昨日のメッセージでした。 行動しないこ …

肉体は変化する

ずいぶん前のことになります。 クラプトンのコンサートのチケットがあるからと、 友 …

歌がうまくなる“地獄聴き”のススメ

歌がうまくなりたくて、がんばっているのに──どうにも伸び悩んでいる気がする──。 …

カラダという楽器 〜 Singer’s Tips #9 〜

ピアノでも、ギターでも、 「さぁ、弾こう」という前に、 弾き手が必ずするのがチュ …

音楽を仕事にできる人

「音楽なんて仕事にならない」 「音楽で食べていくのなんて無理」 音楽を志し、日夜 …

自分自身を「スポットライトのど真ん中」に連れて行く。

スポットライトって、すごいなぁと、 ヴォイトレに来るアーティストたちの、 コンサ …

「育てる」んじゃない。「育つ」んだ。

「あいつは俺の弟子だったから。あいつを育てたのは俺だよ。」 有名人や、一流の人た …